ジョン・スミス (財務大臣)

ジョン・スミス：イギリス政治史に名を刻んだホイッグ党員

ジョン・スミス（1656年 - 1723年10月2日）は、17世紀から18世紀にかけて活躍したイギリスの政治家です。庶民院議員として長期にわたり職務にあたり、議長や財務大臣といった要職を歴任しました。彼の政治経歴は、イングランドからグレートブリテンへの移行期における重要な出来事と深く関わっています。

生い立ちと初期のキャリア

スミスは、裕福な家庭に生まれました。父はテッドワース・ハウスのジョン・スミス、母はサー・エドマンド・ライトの娘メアリー・ライトです。彼はオックスフォード大学セント・ジョンズ・カレッジで学び、その後ミドル・テンプルで法律を学びました。彼の姉アンは、ロンドン市長を務めたサー・サミュエル・ダッシュウッドと結婚したことで知られています。

スミスの私生活においては、2度の結婚歴があります。最初の妻は初代準男爵サー・ニコラス・スチュワードの娘アンでしたが、若くして亡くなりました。その後、第2代準男爵トマス・ストリックランドの娘アンと再婚しています。彼は、父と叔父トマス・スミスの遺産を相続し、経済的に恵まれた立場を築きました。

政治活動の始まりとホイッグ党での活躍

政治家としてのキャリアは、ホイッグ党所属の中道派としてスタートしました。最初の当選は1679年2月のラガーシャール選挙区でしたが、同年8月の選挙では敗北を喫しています。しかしその後、1689年に再びラガーシャール選挙区から当選を果たしました。

彼の政治的影響力は徐々に拡大し、1691年にはベア・アルストン選挙区の議員となり、1694年には下級大蔵卿に任命されています。1695年には枢密顧問官にも就任し、政治の中枢で重要な役割を果たすようになりました。1698年イングランド総選挙ではアンドーヴァー選挙区から当選し、1699年には財務大臣に任命される栄誉に浴しました。

庶民院議長と合同法

財務大臣としての地位は、1701年に一時的に失いますが、その後も選挙で繰り返し当選し続けました。1705年には庶民院議長に選出され、スコットランドとの合同交渉ではイングランド代表として重要な役割を果たしています。1707年の合同法成立により、スミスはイングランド庶民院最後の議長、そしてグレートブリテン庶民院最初の議長という歴史的な地位を確立しました。

合同法成立後も、スミスは政治の中枢に留まり続けました。1708年には再び財務大臣に任命されましたが、庶民院議長職は辞任しています。その後、財務省出納官などを歴任し、1713年の選挙には立候補せず、政府の統制下にあるとされたことに憤慨したとされています。しかし、1714年には財務省出納官に再任され、1723年に亡くなるまでその職に就き続けました。晩年は大臣職には就かず、一議員として活動しました。

死去と遺産

1723年10月2日、ジョン・スミスは永眠しました。彼の遺体はサウス・ティッドワースの旧教会に埋葬されました。2人目の妻との間に4男3女をもうけ、そのうち長男トマスは、彼と同じくホイッグ党所属の庶民院議員となりました。

ジョン・スミスは、イギリスの政治史において重要な役割を果たした人物です。長年にわたる政治活動、要職への就任、そしてイングランドとスコットランドの合同への貢献は、彼の名を歴史に刻むにふさわしい業績と言えるでしょう。彼の生涯は、17世紀から18世紀にかけてのイギリス政治の激動と変化を象徴するものです。

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