ミドル・テンプル

ミドル・テンプル概要

ミドル・テンプル（The Honourable Society of the Middle Temple）は、ロンドン中心部シティに位置する法曹院であり、イギリスにおける法廷弁護士の育成と認定を目的とした非営利の団体です。法曹院はイギリスに4つ存在し、ミドル・テンプルはその中の1つとして、特有の役割と長い歴史を持っています。

ロンドンのテンプル地区にあるこの法曹院は、自治体としての「リバティ」という独立した地位をもつことが特徴であり、シティの直接の管轄下にはありません。地下鉄のテンプル駅が近く交通の便も良好です。

歴史的背景

ミドル・テンプルは、法廷弁護士としてのキャリアを志す人々のための教育機関である一方、その起源は12世紀のテンプル騎士団にまで遡ることができます。当時、テンプル騎士団が建設したさまざまな施設がこの地に立ち並び、後には騎士団とイングランド王室との密接な関係が形成されました。具体的には、1185年にエルサレム総主教がイングランド国王と共にテンプルの開所式を行なっています。

テンプルは最初、金融取引の中心地として発展し、その後法曹関係者が集う場所へとシフトしていきました。また、14世紀には法曹院が2つに分かれ、ミドルテンプルが成立した際に記録が残ります。

発展と機能

その後、ミドル・テンプルは法曹教育の場としての機能を果たし続け、1501年には正式な法曹協会が設置されるなど、教育機関としての基盤が整いました。16世紀には138の弁護士事務所と約200名の会員を抱えるまでに成長しました。そして17世紀から18世紀にかけては、法曹教育だけでなく、社交の場としての役割も果たすようになります。

特にミドル・テンプル・ホールは、劇場としても利用され、1602年にはシェークスピアの劇が初演された場でもあります。さらに19世紀に入ると、多様なバックグラウンドを持つ会員が増え、国際的かつ多文化的な側面が色濃くなっていきました。

建物と敷地

ミドル・テンプルの中で最も古い建物は1574年に完成したミドル・テンプル・ホールです。この後期ゴシック様式の建物は、特にその美しいステンドグラスやユニークな天井構造で知られ、法律によって保護されています。このホールでは女王エリザベス1世が多くの食事を楽しんだという歴史もあり、文学作品にもその名が登場します。1940年のロンドン空襲により被害を受けましたが、見事に復元されています。

現在、ミドル・テンプルは一般に開放され、訪問者はシェークスピアの史劇に登場する庭園や、歴史を感じさせる建物を見学できます。

著名な関係者

ミドル・テンプルには多くの著名人が関与しており、政治家や裁判官、そして法律家として活躍した人物が多数存在します。歴代首相や国の指導者、大法官、著名な作家まで、さまざまな分野で活躍した人々がここで学び、成長していったのです。このような多様な側面は、ミドル・テンプルの魅力を一層引き立てています。

このように、ミドル・テンプルはただの法曹院にとどまらず、歴史的、文化的、社会的な意義を持つ場所として、今なお重要な役割を果たしています。

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