ジョン・ダニエルズ (野球エグゼクティブ)

ジョン・ダニエルズ（Jon Daniels, 1977年8月24日 - ）は、MLB・テキサス・レンジャーズで長年活躍した野球運営幹部です。特に、2013年から2022年まで編成本部長を務めたことで知られています。

ニューヨーク市クイーンズ区で育ったダニエルズは、幼少の頃から地元ニューヨーク・メッツの熱狂的なファンでした。彼は通常のファンとは異なり、試合結果よりも選手の移籍情報に強い関心を持つという、特異な野球少年でした。コーネル大学では応用経済学とビジネス管理学を専攻。卒業後はダンキンドーナツの親会社であるアライド・ドメク社に入社しますが、野球への情熱を捨てきれず、大学時代のルームメイトがMLB機構で働く姿に触発され、野球界への転職を決意します。

2001年、ダニエルズはインターンとしてコロラド・ロッキーズに勤務し、野球界でのキャリアをスタートさせます。翌2002年にはテキサス・レンジャーズに移籍し、2004年からはジョン・ハートGMの下でGM補佐として経験を積みました。

2005年10月4日、ダニエルズはハートGMの後押しもあり、レンジャーズのGMに就任します。当時28歳と41日という若さでのGM就任は、2002年にボストン・レッドソックスのGMに就任したセオ・エプスタインの記録を塗り替える、史上最年少記録でした。

GM就任当初は苦戦が続きます。2006年から3年連続で負け越し、契約最終年の2009年は、成績が向上しなければ解任される可能性がありました。しかし、2009年は87勝75敗と勝ち越し、ダニエルズは首の皮一枚でつながります。すると翌2010年には、レンジャーズを11年ぶりの地区優勝に導き、球団史上初のワールドシリーズ進出を果たしました。2011年もリーグ優勝を成し遂げましたが、ワールドシリーズでは再び敗退しました。

2012年1月18日、ダニエルズはポスティングシステムを利用してメジャーリーグに挑戦していたダルビッシュ有と、6年5600万ドル＋出来高400万ドル、総額6000万ドルで契約合意。この契約は、レンジャーズだけでなく、MLB全体にとっても大きな話題となりました。2013年3月には編成本部長に昇進し、より広範なチーム編成の責任を担うことになります。

2015年、2016年と地区2連覇を達成しますが、2017年以降は負け越しが続き、チームは低迷。2022年8月18日、レンジャーズはダニエルズの解任を発表しました。長年の功績にもかかわらず、チームの再建は託されませんでした。

2022年10月からはタンパベイ・レイズの野球運営部門シニアアドバイザーに就任し、新たな役割を担っています。

ダニエルズは、アメリカ国内や中南米だけでなく、NPBにも目を向けていました。ダルビッシュ有をはじめ、コルビー・ルイスやトニー・バーネットなど、日本球界を経験した選手の獲得にも積極的でした。ダニエルズは、日本球界にはまだ過小評価されている才能が多く眠っていると考えており、「日本人選手は、まだまだ、過小評価されている」、「日本である程度の実績を残した選手なら、即戦力として期待出来る」と語っています。

ジョン・ダニエルズは、若くしてGMに就任し、テキサス・レンジャーズを強豪チームに育て上げた手腕は高く評価されています。その一方で、チームの低迷を招いた責任を問われ、解任されるという苦い経験も味わいました。しかし、彼は常に革新的な視点を持ち、新たな才能の発掘に情熱を注ぎ続けています。今後の活躍にも注目が集まる人物です。

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