ダンキンドーナツ

ダンキンドーナツ：世界に広がるドーナツチェーン



ダンキンドーナツ（Dunkin' Donuts）は、アメリカ合衆国を代表するドーナツのファストフードチェーンです。本社はマサチューセッツ州カントンに位置し、主力商品のドーナツに加え、コーヒー、マフィン、ベーグルサンドイッチなど幅広いメニューを提供しています。店舗では「ダンキン（Dunkin'）」の名称で親しまれ、「America Runs on Dunkin'」という標語がブランドを象徴しています。

ダンキンの由来



店名の「ダンキン」は、ドーナツをミルクやコーヒーに浸して食べる欧米の習慣に由来します。この食べ方は、1934年の映画『或る夜の出来事』で、クラーク・ゲーブル演じる主人公がドーナツをコーヒーに浸して食べるシーンから広まりました。

歴史



ダンキンドーナツの創業者ウィリアム・ローゼンバーグは、東欧系ユダヤ人としてアメリカで生活していました。1946年、彼はマサチューセッツ州クインシーで工場労働者向けにサンドイッチなどの移動販売を開始しました。コーヒーとドーナツの需要が高いことに気づいたローゼンバーグは、1948年にドーナツ専門店「Open Kettle」をクインシーに開業しました。

1950年には、社名を「Dunkin' Donuts」に変更し、フランチャイズ展開を開始。ローゼンバーグは義妹の夫であるハリー・ウィノカーと共に経営していましたが、経営方針の違いからウィノカーは1956年に独立し、ボストンでミスタードーナツを創業しました。

その後、1990年にミスタードーナツと共にバスキン・ロビンスの親会社であるアライド・ライオンズ（後のアライド・ドメク）に買収されます。北米のミスタードーナツ店舗は順次ダンキンドーナツに転換され、現在アメリカ国内でミスタードーナツブランドで営業している店舗はイリノイ州に1店舗のみとなっています。1994年には、アライド・ドメク・クイックサービスレストラン（後のダンキン・ブランズ）の傘下となりました。

2005年にアライド・ドメクがフランスの酒業メーカーペルノ・リカールに買収された後、2006年にダンキン・ブランズはカーライル・グループ、ベインキャピタル、トーマス・H・リー・パートナーズのプライベート・エクイティ・ファンド3社で構成されるコンソーシアムに売却されます。2012年8月には、コンソーシアムから完全に独立を果たしました。

2018年9月25日、飲料やドーナツ以外のファストフードへの注力を反映するため、2019年1月から屋号を「Dunkin'」に変更しました。さらに2020年10月31日には、インスパイア・ブランズがダンキン・ブランズを113億ドルで買収すると発表し、同年12月15日に買収が完了。現在、ダンキンドーナツはバスキン・ロビンスとともにインスパイア・ブランズの傘下となっています。

世界での展開



ダンキンドーナツは、現在世界29か国で約6,000店舗を展開する世界最大のドーナツチェーンです。特に米国国内では、北東部と中部大西洋岸の州に店舗が集中しています。2017年には、オランダにも店舗をオープンしました。

日本での展開



日本においては、1970年に初の海外店舗として東京・銀座にオープンしました。当初はセゾングループのレストラン西武（後の西洋フードシステムズ）の一部門に組み入れられ、その後セゾングループの株式会社ディー・アンド・シーが店舗展開を行いました。しかし、後発のミスタードーナツに市場を奪われ、株式会社吉野家（初代法人）と合併し、株式会社吉野家ディー・アンド・シーとなりました（現在の株式会社吉野家ホールディングス）。

吉野家が店舗の受け皿となった背景には、1983年に経営破綻し、セゾングループ傘下で経営再建をしていたことが挙げられます。ドーナツだけではミスタードーナツに対抗できないと判断し、サンドウィッチなども発売しましたが、業績不振により吉野家ディー・アンド・シーは1998年にドーナツ事業から撤退しました。これにより、在日米軍基地内の店舗を除き、日本から姿を消しています。

当時の吉野家社長であった安部修仁は、「牛丼店とは全く異なる顧客層を持つドーナツ店では、吉野家で培った経験を活かせなかった」と振り返っています。テレビCMは主に沖縄県で放送され、アメリカ本国と共通のものが使用されていました。

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