ジョン・バーチ・ソサエティ

ジョン・バーチ・ソサエティ（John Birch Society）

ジョン・バーチ・ソサエティは、アメリカ合衆国に拠点を置く政治団体であり、一般的に極右に分類されています。その名称は、第二次世界大戦終結直後に中国で共産党軍によって殺害されたとされるアメリカ軍情報将校ジョン・バーチに由来しています。

概要

1958年12月、反共主義者であった実業家ロバート・ヘンリー・ウィンボーン・ウェルチ・ジュニアとその支持者たちによって、インディアナ州インディアナポリスで設立されました。設立者であるウェルチは、果汁製品メーカーウェルチの創業者一族とは別人です。

団体は自らを「ニューライト（新右派）」と定義し、反共産主義を強く主張しました。また、共産主義に親和的であると見なした政治家、裁判官、団体を厳しく批判しました。さらに、アメリカ合衆国が北大西洋条約機構（NATO）から脱退することや、国際連合による内政干渉に反対するモンロー主義的な孤立主義を主張しました。1950年代後半から1960年代にかけて高まった公民権運動に対しては、「共産主義の影響を受けている」として反対しました。

冷戦下であった1960年代から1970年代にかけて、ジョン・バーチ・ソサエティは活動の最盛期を迎え、全米で6万人から10万人の会員を擁しました。さらに、民主党所属のラリー・マクドナルド下院議員が会員になるなど、政界にも支持を広げました。

しかし、冷戦が終結し、ソビエト連邦や東ドイツなどの共産主義政権が崩壊した1990年代初頭以降は、かつての敵対勢力が消滅したためか、「政府や金融機関は共産主義者に操られており、『新世界秩序』を築こうとしている」といった陰謀論的な主張を展開するようになりました。現在、団体の本拠地はウィスコンシン州グランド・シュートに置かれ、活動を続けています。一定の支持者は存在し、2016年の大統領選挙にも影響を与えたとされています。

著名な会員

フレッド・コーク: コーク・インダストリーズの創業者であり、創設メンバーの一人として財政面から団体を支援しました。
ラリー・マクドナルド: 民主党の下院議員であり、1983年9月1日に発生した大韓航空機撃墜事件で命を落としました。
J・D・ティピット: テキサス州ダラス市警察の巡査で、ケネディ大統領暗殺事件の犯人とされたリー・ハーヴェイ・オズワルドによって殺害されました。
レヴィーロ・P・オリヴァー: イリノイ大学の教授。リー・ハーヴェイ・オズワルドはソ連の対米陰謀の一部であると主張しました。創設メンバーの一人でしたが、1966年に脱退しています。

エピソード

1963年5月12日、人気テレビ番組「エド・サリヴァン・ショー」で、ボブ・ディランはジョン・バーチ・ソサエティを揶揄する曲「ジョン・バーチ・ソサエティ・ブルース（Talkin' John Birch Paranoid Blues）」を演奏する予定でした。しかし、リハーサルの際、放送局のCBS側から歌詞が「放送にふさわしくない」として曲の変更を要求されました。ディランはこれを拒否し、歌えないなら番組には出演しないと主張してスタジオを後にしました。

関連項目

宗教右派
国際勝共連合
日本会議
法輪功

外部リンク

John Birch Society website
The New American

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