モンロー主義

モンロー主義とは

モンロー主義は、アメリカ合衆国が確立した外交政策の一つであり、1823年に第5代大統領のジェームズ・モンローが示した概念です。この主義は、アメリカ大陸とヨーロッパ間の相互不干渉を強調し、特に南北アメリカにおける植民地や属領に対する干渉を認めない姿勢を示しました。モンロー主義は国務長官ジョン・クィンシー・アダムズによって起草され、長い間アメリカの外交政策の基本的なガイドラインとなっています。

年次教書の主要内容

モンロー主義を形作るに至った年次教書は、1823年12月にアメリカ合衆国議会に提出されました。教書の主なポイントは以下の通りです。
1. ヨーロッパの紛争に干渉しないこと。
2. 南北アメリカに存在する植民地や属領を承認し、その干渉を避けること。
3. 植民地化のさらなる推進を望まないこと。
4. 独立運動を展開する旧スペイン領への干渉をアメリカの平和に対する脅威とみなすこと。

これによって、南北アメリカは主権国家としての地位を堅持すべきであり、外部からの干渉を排除されなければならないという意図が表明されました。

歴史的背景と意図

19世紀初頭、ラテンアメリカ各地で独立運動が広がっていました。この時期、ナポレオン戦争によってスペインの植民地に対する支配が脆弱化し、多くの中南米諸国が独立を果たそうとしていました。スペイン本国はこれを抑え込もうとしましたが、自由主義者たちとの対立がありました。
非常に保守的なウィーン体制の中で、オーストリアのメッテルニヒは独立運動への干渉を試みました。一方で、イギリスはラテンアメリカとの貿易拡大を目指し、経済的な影響力を強化しようとしていました。このような背景の中、モンロー大統領はアメリカ大陸に対するイギリスやその他のヨーロッパの影響力を排除するため、教書を通じて強いメッセージを発信しました。

冷戦下のモンロー主義

1934年、フランクリン・ルーズベルト大統領はラテンアメリカ諸国に対する干渉を控える善隣政策を打ち出しました。しかし、冷戦の進展と共に、アメリカの対中南米政策も変化し、1948年の米州相互援助条約と1951年のボゴタ憲章が出現しました。これにより、中南米諸国が西側陣営に組み込まれていく流れが加速しました。
また、冷戦時代には数々の介入が行われ、PBSUCCESS作戦やピッグス湾事件、チリ・クーデターなどが代表的な例です。

現代におけるモンロー主義

ドナルド・トランプ大統領の当選以降、モンロー主義的な立場が再評価され、特にトランプ政権下での国連総会での演説などを通じて、アメリカの外交政策における孤立主義的要素が強調されました。ジョン・ボルトン大統領補佐官は中南米への積極的な介入を主張し、モンロー主義の重要性を掲げました。

その他の観点

モンロー主義はアメリカの孤立主義政策を象徴するもので、日本でも特定の施策に対して「モンロー主義」と呼ばれることが多く、さまざまな文脈で使われています。例えば、「アジア・モンロー主義」や市営モンロー主義などが存在し、これらは他国との協調を避ける姿勢を示しています。モンロー主義はアメリカの外交戦略において非常に重要な役割を果たしてきた概念であると言えるでしょう。

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