ジョン・ブレンキンソップ

ジョン・ブレンキンソップ：蒸気機関車のパイオニア

ジョン・ブレンキンソップ（John Blenkinsop、1783年 - 1831年）は、イギリスの鉱山技術者であり、蒸気機関車技術の発展に大きく貢献した人物です。彼は最初の実用的な鉄道用機関車を設計し、鉄道の発展に寄与しました。

ブレンキンソップはリーズ近郊のロスウェルという場所で生まれました。彼は鉱山監督の従兄弟、トーマス・バーンズの弟子として技術を学び、1808年からはミドルトンで炭鉱主の代理人として活動を始めます。この地域の炭鉱では、石炭をリーズへ輸送するための馬車鉄道が1748年に敷設され、のちにミドルトン鉄道と呼ばれることになります。この鉄道は地役権を初めて取得した重要なものでした。

この時代、蒸気機関車技術はロンドンにおけるリチャード・トレビシックの試みなど、いくつかの実験が行われていました。1805年、トレビシックは炭鉱向けに蒸気機関車を製造しましたが、その鋳鉄製レールが重量を支えることができず、成功を収めることができませんでした。しかし、ナポレオン戦争により馬の調達が困難になり、蒸気機関の需要は高まりました。これが蒸気機関車の開発の後押しとなりました。

1811年、ブレンキンソップは機関車用のラック・アンド・ピニオンデザインの特許を取得します。彼の発明はより強力な牽引力を持つ機関車の製造を可能にしました。当時の常識では、機関車は自重の4倍の貨物を牽引することができるとされていましたが、彼はそれを超える性能を求めました。彼の設計した5トンの機関車は、通常90トンの貨物を牽引することができました。

最初に製造された機関車は「サラマンカ号」で、1812年に完成しました。この後、さらに3両の機関車が製造され、これらはウィガンやニューカッスル・アポン・タインの炭鉱でも使用されました。彼らの機関車は二つのシリンダーを備えており、当時のトレビシックの設計とは異なり、フライホイールを持たないものでした。これらの機関車は、レールの側に設置されたラックと噛み合わせて動く機構を持っていました。

また、彼の設計には二つの8インチ×20インチのシリンダーが搭載されており、一般的な機関車とは異なり、平行運動の制御ではなくクランクで駆動される仕組みとしていました。この機関車は20年以上にわたり使用されましたが、技術の進歩により1820年には錬鉄製のレールが製造され、より重い機関車が可能になると、このラック式設計は次第に廃れ、粘着式機関車が主流になっていきました。

ブレンキンソップは1831年にリーズで亡くなり、ロスウェル教区の教会に埋葬されました。彼の革新的な技術と努力は、鉄道技術の発展において重要な役割を果たし、後の機関車製造者たちに多大な影響を与えました。彼の業績は、今日の鉄道網の礎となり、蒸気機関車の進化における重要な一歩を印象付けました。

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