ジョン・プラット (初代カムデン侯爵)

初代カムデン侯爵ジョン・ジェフリーズ・プラット

初代カムデン侯爵ジョン・ジェフリーズ・プラット（1759年2月11日 - 1840年10月8日）は、イギリスの政治界でさまざまな役職を歴任した著名な貴族です。トーリー党に属しながら、アイルランド総督、陸軍・植民地大臣、そして枢密院議長などの要職を務めました。彼の政治キャリアは、しばしば反乱や暴動に晒されたアイルランド情勢の中での苦難に満ちていました。

生い立ち

プラットは、チャールズ・プラットとエリザベスの間に生まれ、早くから将来を見越した教育を受けました。ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジで学び、1766年には財務省出納官権を得ます。1779年には歩兵少尉として軍務に就きますが、後に辞任します。

政治の道

プラットは、1780年のイギリス総選挙でバース選挙区から議員に当選し、議会入りしましたが、初めは政治的関心が薄く、議員としての責務に実際に取り組むまでには時間がかかりました。しかし、後に彼は重要な政策論争に参加し、特にアメリカ独立戦争の講和に賛成票を投じるなど、活動の幅を広げました。

1784年には再選を果たし、1794年に父の死去に伴いカムデン伯爵位を継承します。彼は貴族院に移り、アイルランド総督に任命されますが、その任期は「暴動に始まり、反乱に終わる」と批評されました。彼の時代には、カトリックの権利拡大を目指す法案が提出されるも、強硬派の影響力が強く、そのような改革は行き詰まりました。

アイルランド総督としての任期

アイルランド総督としてのプラットは、緊張した政治情勢に直面しました。彼の就任当初、融和的な政策が試みられましたが、次第に強圧的な手法に転じ、暴力や暴動が横行しました。1798年のアイルランド反乱勃発時には、彼の無力さが露呈し、政府の求めに応じて辞任を申し出なければならない状況に陥りました。

政治活動の継続

辞任後もプラットは政治の世界にとどまり、無任所大臣として内閣に留まりつつ、政治活動を続けました。その後、陸軍・植民地大臣や枢密院議長に就任するなどの役職を歴任し、特にオーストラリアの羊毛産業に関する貢献が評価されました。彼の手によって、オーストラリアに持ち込まれたメリノ種ヒツジの影響は大きなものとなり、今でも彼の名前を冠した町が存在します。

晩年と評価

晩年には、カトリック解放の問題に賛成に転じるなど、政治的な見解に変化が見られました。プラットの評価は様々で、彼の総督としての任期は、力不足や決断力の欠如が指摘されることがありました。その一方で、彼の政治的キャリアは時代の流れを反映しているとも言えます。

1840年、彼はシールのザ・ウィルダーネス地所で亡くなり、息子ジョージ・チャールズが彼の爵位を継承しました。プラットの人生は、イギリスの貴族政治の一側面を象徴するものであり、彼の業績と失敗は後世に大きな影響を与えています。

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