ジョン・ホーガン

ジョン・ホーガンについて

ジョン・ホーガン（John Horgan）は1953年生まれのアメリカの科学ジャーナリストで、数十年にわたり英語圏のさまざまな科学雑誌に寄稿してきました。特に、1986年から1997年まで『サイエンティフィック・アメリカン』で編集委員として活躍したことが知られています。彼の仕事は、科学の進展や限界についての考察を深め、一般読者に理解しやすい形で伝えることを目的としています。

主要な著作と主張

ホーガンの1996年の著書『科学の終焉』（The End of Science）では、科学がもはや重要な発見をする段階を過ぎつつあると主張しました。彼は「純粋科学」を人間の根源的な探求と位置づけ、その探求が終焉を迎える可能性を示唆しました。特に進化論や相対性理論、量子論などの発見は、今後も同じような重要性を持つものは出てこないと論じました。しかし、科学的な探究が全く終わるわけではなく、科学はますます精緻になり、応用範囲を拡大するが、大きな発見はもはや期待できないと主張しました。

この主張は、多くの科学者から批判を受けました。物理学者フィリップ・アンダーソンは、科学者たちは常に新たな問いを求め続けるものであり、ホーガンの論調は誤りであると指摘しました。『ニューヨーク・タイムズ』のレビューでも『科学の終焉』は「知的で、包括的であり、しばしば優れたものである」と評されています。

その後、ホーガンは1999年に『続・科学の終焉―未知なる心』（The Undiscovered Mind）を出版し、ここでは神経科学や精神分析、進化心理学などを扱いました。2003年には『科学を捨て、神秘へと向かう理性』（Rational Mysticism）を発表し、科学とスピリチュアリティの接点を探求しました。

科学執筆センターの役割

2005年にはニュージャージー州のスティーブンス技術研究所にて、科学執筆センターのセンター長として活動を開始しました。このセンターは著名な科学者やコミュニケーターを招いた講演会を行い、科学に対する理解を深める場として機能しています。また、2006年には環境関連の優れた著作に贈られるグリーン・ブック賞を創設し、第一回受賞者には生物学者のE.O.ウィルソンが選ばれました。

メディアとコミュニケーション

ホーガンはまた、この分野における重要なメディアパーソナリティでもあります。アメリカのチャーリ・ローズ・ショウやPBSのニュースアワーなどで幅広く取り上げられています。さらに、BloggingHeads.tvにて、科学者や哲学者との対談やインタビューをビデオ形式で配信し、科学に対する洞察を一般に提供しています。

ホーガンの業務は、科学の現状や心理学的な探求、そして科学と神秘主義の相互作用を探ることによりのみならず、科学メディアを通じて一般大衆に、その重要性や魅力を広める努力とも言えます。彼の研究と著作は、科学を単なるデータの集積だけでなく、深く人間的な探求として捉え直す貴重な視点を提供しています。

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