ジョン・ポール・グード

ジョン・ポール・グードの業績と影響

ジョン・ポール・グード（John Paul Goode、1862年11月21日 - 1932年8月5日）は、アメリカ合衆国の地理学において重要な役割を果たした学者であり、特に1900年から1940年にかけての時代に活躍しました。彼はミネソタ州スチュワートビルで生まれ、1889年にミネソタ大学から学士号を取得し、その後1903年にペンシルベニア大学で経済学の博士号を得ました。大学卒業後は、シカゴ大学の地理学部門に教授として迎えられ、地理学の発展に寄与しました。

「邪悪なるメルカトル」

1908年、グードはボルティモアでのアメリカ地理学会の集会で、「邪悪なるメルカトル（Evil Mercator）」に代わる世界地図図法の必要性を訴えました。メルカトル図法は、両極に近づくほど大きな歪みが生じるため、特に北半球の高緯度地域では表現の精度が低下することが知られています。グードは新たにホモロサイン図法（グード図法）を提案し、これはホモログラフ図法と正弦曲線図法を接合する形で設計されました。グードはこの図法において、緯度に応じた正確な長さで緯線が描かれるように工夫し、南北の40度44分11.8秒の緯線で二つの図法を接続しました。

このホモロサイン図法は、南北の40度44分11.8秒よりも極に近い範囲ではホモログラフ図法を、そしてその間の領域には正弦曲線図法を用いることで、より正確な地図の表現を実現しました。さらに、海洋部に断裂を設けた改良版も存在し、これは擬円筒図法の特徴を取り入れています。しかしながら、当時の地図文化においてアメリカ合衆国を中心に描かないスタイルは果敢な挑戦とされ、初期には広く受け入れられることはありませんでした。

グードの地図帳

1923年、彼は教え子の支援を受けて『グード学校地図帳（Goode’s School Atlas）』を出版し、これが後に『グード世界地図帳（Goode’s World Atlas）』と改題されます。この地図帳では、収録されている地図すべてが等積図法によって作成されていることが強調され、「地図中のすべての1平方インチは、同じ地図のどの1平方インチとも、地表面で同じ平方マイルの大きさになっている」との言葉が引用されています。この地図帳は現在も新しい版が刊行されており、その影響力は今も続いています。

グードは、1928年には健康状態が悪化し、心臓発作を受けながらもその業績を続け、1932年8月5日に69歳でその生涯を閉じました。彼の業績は主に地理学や地図製作の分野において重要であり、近代地理学に与えた影響は計り知れません。彼の図法や刊行物は、今なお学術的な参考として、多くの専門家や教育者に利用されています。

参考文献

1. Haas, William H., Ward Harold B. "J. Paul Goode". Annals of the Association of American Geographers 23.4 (1932): 21–246.
2. McMaster, Robert, McMaster Susanna. "A History of Twentieth-Century American Academic Cartography." Cartography and Geographic Information Science 29.3 (2002): 305–321.
3. Schulten, Susan. The Geographical Imagination in America, 1880–1950. Chicago & London: The University of Chicago Press, (2001).
4. Steinwand D.R. Mapping Raster Imagery to the Interrupted Goode Homolosine Projection. USGS 1 Dec. 2003.

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