ジョン・ミッチェル (ジャーナリスト)

ジョン・ミッチェル：在日米軍の真実を暴く調査報道ジャーナリスト

ジョン・ミッチェル（Jon Mitchel, 1974年-）は、ウェールズ生まれの調査報道ジャーナリストです。現在は神奈川県横浜市に在住し、明治学院大学国際平和研究所の研究員、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院の非常勤講師（英語）を務めています。

徹底した調査報道

ミッチェル氏は、米国情報公開法を駆使して入手した在日米軍と米国中央情報局（CIA）の公文書を基に、日本における米軍の核兵器、化学兵器、基地汚染の実態を丹念に取材しています。その徹底的な調査報道は、長年にわたり、日本の米軍基地が抱える問題に光を当て続けています。

在日米軍の実態を追求

1998年に来日して以来、ミッチェル氏は在日米軍の実態、特に在沖米軍基地の環境汚染問題に焦点を当てて取材を続けています。枯葉剤（エージェント・オレンジ）に関する研究は、琉球朝日放送のTVドキュメンタリー番組「枯れ葉剤を浴びた島:ベトナムと沖縄・元米軍人の証言」に結実し、日本民間放送連盟賞テレビ報道番組優秀賞を受賞しました。2013年には、オリバー・ストーン監督の沖縄取材にも同行しています。

受賞歴と活動

2015年、ミッチェル氏は在沖米軍基地の環境問題に起因する人権問題に関する調査報道で、日本外国特派員協会「報道の自由推進賞」の「報道功労賞」を受賞しました。2016年からは、沖縄タイムスの特約通信員として、彼の記事は沖縄タイムスで翻訳され紙面化されています。

「ジョン・ミッチェル・コレクション」

沖縄国際大学は、ミッチェル氏が米国情報公開法に基づいて入手した米軍やCIAの内部文書「ジョン・ミッチェル・コレクション」を公開しており、一般の閲覧も可能です。このコレクションには、1945年から2017年までの在沖米軍の環境汚染に関する公文書、化学兵器や生物兵器に関する報告書、ベトナム戦争時代の有害廃棄物や環境事故に起因する汚染の報告書が含まれています。また、嘉手納基地、普天間飛行場、キャンプ・シュワブなどの在沖米軍施設に関する自然的、考古学的、文化的調査報告や、在日米軍の沖縄に関するオリエンテーション資料、1970年のコザ暴動に関する資料も含まれています。

近年の活動

2023年には、島袋夏子琉球朝日放送ディレクターとともに制作した報道番組『命（ぬち）ぬ水（みじ）：映し出された沖縄の50年』が、第23回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞（公共奉仕部門）大賞を受賞しました。

著作

ミッチェル氏は、数多くの著作を通じて、調査報道の成果を発表しています。主な単著としては、以下のものがあります。

『追跡・沖縄の枯れ葉剤：埋もれた戦争犯罪を掘り起こす』（2014年）：ベトナム戦争で使用された枯葉剤が沖縄で備蓄、使用、廃棄された事実を、退役米兵の証言を基に明らかにしました。
『追跡 日米地位協定と基地公害：「太平洋のゴミ捨て場」と呼ばれて』（2018年）：米軍基地がダイオキシン、白リン弾、核物質などで高濃度に汚染されている現状を、日米地位協定が基地公害を放置し隠蔽していると指摘しています。
Poisoning the Pacific: The US Military's Secret Dumping of Plutonium, Chemical Weapons, and Agent Orange（2020年）：太平洋における米軍の環境汚染の実態を詳述しています。
『「情報自由法」で社会を変える!：情報開示最強ツールの実践ガイド』（2023年）：情報公開請求の重要性と実践的な方法を解説しています。

また、共著として『永遠の化学物質（フォーエバー・ケミカル）：水のPFAS汚染』（2020年）があります。

結論

ジョン・ミッチェル氏は、その徹底した調査報道と勇気ある行動により、在日米軍基地が抱える数々の問題を明るみに出し、社会に大きな影響を与え続けています。彼の活動は、真実を追求するジャーナリズムの重要性を改めて示しています。

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