非常勤

非常勤及びパートタイム労働の概要

非常勤（ひじょうきん）やパートタイム（英：part-time）という言葉は、労働契約の形態を示すもので、フルタイムの労働者に比べて労働時間が短い従業員を指します。このような短時間勤務の労働者は、アルバイトや有期雇用の形態で働いていることもあれば、弁護士や会計士など専門職としての知識を持っている場合も多いのです。

一般的に、非常勤労働者は短時間勤務を行い、長時間の勤務が求められる法律や制度下でも働くことは少ないため、看護師や警備員のように変形労働時間制が適用される職種には該当しません。労働者がフルタイムでの雇用を希望しているにもかかわらず、パートタイムの雇用しか見つからない場合を「不本意なパートタイム労働（Involuntary part-time）」と呼び、これも不完全雇用に分類されます。

産業による呼称の違い

国や地方公共団体では一般的に「非常勤職員」と呼ばれることが多く、令和2年度からはこの勤務形態を基にした「会計年度任用職員」という新たな区分も導入されました。教育現場での非常勤講師に関しては、正規採用ではない教員の中で時間が短い、または特定のコマ数のみを担当する教員が区別されています。一般企業においては、主婦や主夫が本務として働きつつパートタイム勤務を行う際、「パートタイマー」という呼称が使われることが多いです。

国際的な取り組み

国際労働機関（ILO）の175号条約では、パートタイマーをフルタイム労働者に対して短い労働時間で働く従業員として定義しており、彼らには団結権や同一労働同一賃金、健康保険などの権利を付与することが求められています。一方、欧州連合のパートタイム労働指令にも同様の要求が盛り込まれており、法的に同一労働同一賃金が義務付けられています。また、オランダでは労働者の3人に1人がパートタイムであるという状況があり、労働時間に応じて賃金を調整する権利が確認されています。

日本における状況

1980年代以降、日本では女性の職場進出が進み、パートタイム労働者の比率も高まっています。具体的には、1991年には7人に1人、2009年には5人に1人、2020年には4人に1人がパートタイマーとして働いています。社会保険については、健康保険や厚生年金に関しては一定の条件を満たす非常勤者も加入の義務が生じますが、雇用保険については所定労働時間が20時間未満の者は対象外となります。

短時間正社員とフルタイムへの転換

短時間正社員とは、無期雇用であり、フルタイムの社員と同様の待遇で働く条件を満たすパートタイマーを指します。2015年からは法改定により、フルタイムへの転換オプションを提供することが企業に求められるようになっています。このように、同一労働同一賃金の推進により、雇用者は常勤と非常勤の待遇の違いについて説明責任が生じることとなりました。

就業調整の実態

就業調整とは、パートタイマーが所得を特定の額に抑えるために労働時間を調整することです。女性パートタイマーの3割は年収が特定の金額を超えることが不安で、計画的に労働時間を選んだり、場合によっては年末に欠勤する形で調整を行っています。これにより、働く方々のライフスタイルや家庭との両立が試みられていることが見受けられます。

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