ジョン・ルーベンス・スミス

ジョン・ルーベンス・スミス（John Rubens Smith、1775年1月23日 - 1849年8月21日）は、イギリスで生まれ、後にアメリカ合衆国で活躍した画家であり、版画家です。彼は19世紀初頭のアメリカの風景や人物を描いた版画を数多く残し、ニューヨークでは美術学校を開設するなど、美術教育にも貢献しました。

生涯

ロンドンで生まれたスミスは、美術家の家系に育ちました。祖父のトーマス・スミス（Thomas Smith, 1715-1767）は風景画家であり、父のジョン・ラファエル・スミス（John Raphael Smith, 1751–1812）は、肖像画をメゾチント版画に仕立てる版画家としてロンドンで成功を収めていました。幼少期から父親のもとで美術の基礎を学び、その後、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツの美術学校でも学んだとされています。

1807年頃にアメリカ合衆国に移住したスミスは、ボストン、フィラデルフィア、ニューヨークといった東海岸の都市を拠点に活動しました。彼は、これらの都市の風景を描いた版画や、当時の著名人の肖像版画を制作し、その名を広めました。また、美術学校を開校し、自身の描画技術を体系化した「Juvenile Drawing Book（少年のための描画の本）」（1826年）を出版するなど、アメリカにおける美術教育の発展にも貢献しました。スミスの教えを受けた画家の中には、エマヌエル・ロイツェ（Emanuel Leutze, 1816-1868）のような後世に名を残す人物もいます。

スミスはニューヨークで生涯を終えました。息子のジョン・ローソン・スミス（John Rowson Smith, 1810–1864）も画家となり、サーカスの興行主リチャード・リズリー・カーライルに雇われ、サーカスの演目「ムーヴィング・パノラマ」の制作にも携わりました。

作品の特徴

スミスの作品は、当時のアメリカの都市景観や人々の生活を生き生きと描き出している点が特徴です。彼の版画は、細密な描写と美しい構図で、歴史的な資料としても価値が高いとされています。特に、アメリカの初期の風景を描いた作品は、当時の社会や文化を理解する上で重要な役割を果たしています。

美術教育への貢献

スミスは画家、版画家としての活動だけでなく、美術教師としても大きな足跡を残しました。彼の著書「Juvenile Drawing Book」は、描画の基礎を学ぶための教材として広く活用され、アメリカにおける美術教育の普及に貢献しました。また、彼が設立した美術学校からは、多くの才能ある画家が育ち、アメリカの美術界の発展に寄与しました。

ジョン・ルーベンス・スミスの功績は、19世紀初頭のアメリカ美術史において重要な位置を占めています。彼の作品と教育活動は、今日においても高く評価されており、その影響は広く及んでいます。

参考文献

John Rubens Smith biography at the Library of Congress website (visited June 21, 2010)
John Rubens Smith Created Pictorial Record of Early America at the Library of Congress website (visited June 21, 2010)
* Vital data at printsandprintmaking.gov.au (visited June 21, 2010)

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