ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ

ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ：英国美術の中枢

ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ（Royal Academy of Arts、略称：RA）は、イギリス・ロンドンのピカデリーに位置する、由緒ある美術家団体であり、国立美術学校、そして美術館を併設した複合施設です。王立芸術院とも呼ばれ、英国美術界の中心的存在として、長きにわたる歴史と伝統を誇ります。

歴史と伝統：芸術家協会から王立芸術院へ

RAの歴史は、1760年に設立された「芸術家協会（Society of Artists）」に遡ります。ジョシュア・レノルズやフランシス・ヘイマンといった、当時を代表する画家たちが中心となり、ロンドンで共同の展覧会を開催することを目的としていました。定期的に開催された展覧会は高い人気を博し、1765年には国王の勅許を得るまでに成長しました。しかし、1767年、会員間の派閥争いが激化。主要な会員たちが芸術家協会を脱退し、1768年に新たな団体を設立、翌1769年に最初の展覧会を開催しました。それが、現在のロイヤル・アカデミー・オブ・アーツです。

初代校長には、著名な肖像画家サー・ジョシュア・レイノルズが就任。創立メンバーは36名で、会員は勅許作品を寄託することが義務付けられており、これが現在の美術館のコレクションの基礎となっています。当初はペル・メル通りに設置されていましたが、その後トラファルガー広場を経て、1867年に現在のバーリントン・ハウスに移転しました。パラディオ様式の壮麗なバーリントン邸は、かつてはロンドン大学の本部も置かれていた由緒ある建物です。

ロイヤル・アカデミー・スクール：英国最古の美術学校

RAに併設されているロイヤル・アカデミー・スクール（Royal Academy Schools）は、英国最古の美術学校として知られています。現在では3年制の大学院レベルの教育プログラムを提供し、世界中から優秀な学生が集まります。伝統的な美術教育を基盤としながらも、現代的な視点を取り入れたカリキュラムで、多くの著名な芸術家を輩出しています。

活動と運営：美術展と常設展示

RAは、正会員40名、准会員30名（1876年から）から構成され、投票で選ばれた会長（President, P.R.A.）と評議員会が運営にあたります。王室や政府からの支援は受けておらず、美術展の開催や会員からの寄付金などが主な収入源です。開催される美術展は質が高く、ナショナル・ギャラリーやテート・ギャラリーと並び称されるほどです。2004年には、バーリントン・ハウスの改装に伴い、常設展示も開始。過去の巨匠たちの作品から現代美術まで、幅広いコレクションを鑑賞することができます。1824年にナショナル・ギャラリーが設立されるまでは、芸術家や学生にとって、古典絵画に触れる貴重な場を提供し続けていました。

バーリントン・ハウス：歴史と芸術の融合

RAの本拠地であるバーリントン・ハウスは、建築史的に見ても貴重な建物です。パラディオ様式を代表する建築様式は、美術作品と見事に調和し、独特の雰囲気を醸し出しています。歴史と芸術が融合したこの空間は、訪れる人々に深い感動を与えます。

今後の展望：伝統と革新の共存

ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツは、伝統と革新を両立させながら、現代美術界をリードし続けています。英国美術の中枢として、これからも世界中の芸術家や美術愛好家にとって重要な役割を果たしていくことでしょう。

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