ジョン・ロッテスリー (第2代ロッテスリー男爵)

ジョン・ロッテスリー(1798-1867)は、イギリスの貴族であり、天文学者として顕著な功績を残した人物です。彼は、第2代ロッテスリー男爵として知られ、多様な才能と活動によって19世紀のイギリス社会に貢献しました。

ロッテスリーは、スタッフォードシャーの裕福な家庭に生まれました。ウェストミンスター・スクールを経て、オックスフォード大学のクライスト・チャーチに入学。その後は法曹界に進み、弁護士として活躍しました。しかし、彼の情熱は天文学にも向けられていました。

弁護士としての活動と並行して、ロッテスリーは天文学研究に没頭しました。1820年には王立天文学会の創立メンバーとなり、1831年から1841年までは同会の書記を務めました。さらに、1841年から1843年にかけては会長職に就き、天文学界をリードする立場となりました。彼の主な業績として、二重星のカタログ作成が挙げられます。長年の観測と研究に基づいて作成されたこのカタログは、天文学の発展に大きく貢献しました。

ロッテスリーは、自ら天文台を建設し、観測を行いました。ブラックヒースに最初に天文台を建設した後、後にロッテスリー・ホールにも観測所を建設し、観測を継続しました。1836年には王立天文学会でその観測結果を発表し、1838年には学会から出版されました。その功績によって、1839年には王立天文学会ゴールドメダルを受賞しています。

天文学研究以外にも、ロッテスリーは政治活動にも積極的に参加しました。彼は王立協会フェローに選出され、1854年から1858年までは同会の会長を務めました。有用知識普及協会に参加するなど、教育や社会啓蒙活動にも携わりました。また、ホイッグ党（のちに自由党）の一員として、政治にも関与し、第1回選挙法改正の選挙区境界制定にも関わっています。しかし、1847年の工場法（女性と未成年労働者の労働時間を1日10時間に制限する法律）には反対するなど、保守的な一面も見せていました。

私生活では、1821年にソフィア・エリザベス・ギファードと結婚し、5人の息子と2人の娘に恵まれました。しかし、息子たちの何人かは若くして亡くなっています。

ロッテスリーは、1867年にロッテスリー・ホールで亡くなりました。彼の死後、爵位は息子アーサーが継承しました。弁護士、天文学者、政治家と多様な顔をもったロッテスリーは、イギリス社会に多大な貢献を果たした人物として記憶されています。彼の業績は、今日でも天文学史において重要な位置を占めています。彼の研究成果や活動は、現代の天文学や社会の発展に繋がる貴重な遺産となっています。ロッテスリー男爵が残した記録や資料は、現代の研究者にとっても貴重な情報源であり続けています。彼の功績は、単なる天文学の範囲を超え、19世紀イギリス社会における科学と社会の発展に貢献した人物像を明らかにしています。

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