ジョヴァンニ・バッティスタ・グラッシ

ジョヴァンニ・バッティスタ・グラッシ：マラリア研究に貢献したイタリアの動物学者・寄生虫学者

ジョヴァンニ・バッティスタ・グラッシ（Giovanni Battista Grassi、1854年3月27日 - 1925年5月4日）は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したイタリアの動物学者であり、寄生虫学者です。彼の最も重要な功績は、マラリアの原因となるマラリア原虫が、ハマダラカ（Anopheles）という特定の蚊によって媒介されることを発見したことです。この発見は、マラリアの予防と治療における大きな進歩につながりました。

生涯と業績

グラッシは、イタリア北部のロンバルディア州コモ県ロヴェッラスカで生まれました。パビア大学で医学を学び、1878年に博士号を取得した後、ドイツのハイデルベルク大学とヴュルツブルク大学で動物学を学びました。その後、1883年からシチリアのカターニア大学で動物学を教え、1895年からはローマ大学の比較解剖学の教授を務めました。

グラッシの研究は多岐にわたり、腸内寄生虫やシロアリ、原生動物の生態に関する研究を行いました。また、魚類学の分野にも貢献しています。しかし、彼の最も重要な業績は、マラリア原虫の媒介者を特定したことです。彼は、アミーコ・ビグナーミ（Amico Bignami）とジュゼッペ・バスティオネリ（Giuseppe Bastianelli）と共に、マラリア原虫を媒介するのがハマダラカであることを突き止めました。これにより、ハマダラカからの防護がマラリア予防に不可欠であることが明確になりました。

マラリアの研究において、グラッシの発見は非常に重要でしたが、ノーベル生理学・医学賞は1902年にロナルド・ロスが受賞しました。ロスの業績は、鳥のマラリア原虫のライフサイクルを明らかにしたことにあり、グラッシの発見とは異なる側面からの貢献でした。しかし、グラッシの功績がノーベル賞に値しなかったわけではありません。彼の発見は、マラリアの感染メカニズムを理解し、予防対策を立てる上で不可欠なものでした。

また、グラッシはシロアリの研究にも貢献し、1896年にはその功績が認められ、王立協会のダーウィン・メダルを受賞しています。さらに、イタリア王国のヴィットーリオ・エマヌエーレ3世によって上院議員に任じられ、政治の世界でも活躍しました。

グラッシの著作

グラッシは、多くの研究論文を発表しており、その中には以下のようなものがあります。

1898年: Rapporti tra la malaria e peculiari insetti (zanzaroni e zanzare palustri). R. C. Accad. Lincei 7:163–177.
1899年: Ancora sulla malaria. R. C. Accad. Lincei 8:559–561.
1899年: Bignami,A.、Bastianelli, G.と共著. Resoconto degli studi fatti sulla malaria durante il mese di gennaio. R. C. Accad. Lincei. 8:100–104.
1901年: Studii di uno Zoologo sulla Malaria.Atti dei.Linncei.Mem. Cl.sc.fis.ecc.3(5),No. 91:299–516.6 plates in colour.

これらの論文は、グラッシの研究成果を示す貴重な資料です。

まとめ

ジョヴァンニ・バッティスタ・グラッシは、マラリア原虫がハマダラカによって媒介されることを発見した、偉大な科学者です。彼の研究は、マラリアの予防と治療に大きく貢献しました。また、腸内寄生虫やシロアリ、原生動物の研究、魚類学にも貢献し、多岐にわたる分野でその才能を発揮しました。ノーベル賞は逃しましたが、彼の功績は歴史に刻まれ、後世の科学者たちに大きな影響を与え続けています。

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