ジョージアの映画

ジョージア映画の歴史と発展

ジョージアの映画産業は、1910年代初頭に遡ります。初めて短編記録映画を撮影したのは技師のアレクサンダー・ディグメロフで、1910年に作られたとされています。その後、1912年にはヴァシル・アマシュケリがドキュメンタリー映画『アカキ・ツェレテリのラチャ・レチフミへの旅』を製作し、これがジョージア最初のドキュメンタリー映画となりました。1918年に制作された『クリスティネ』や1921年の『グリャズノフ将軍の殺人』など、初期のジョージア映画はロシアやドイツの映画の影響を強く受けつつ、独自の映画文化を育んでいきました。

ソ連時代の映画製作

ジョージアは1921年にボリシェヴィキによる侵攻を受け、ソビエト連邦の一部となります。これによって、ジョージアの映画産業もソ連政府の影響を強く受けることになりました。この時期、ゴスキノという国家機関が映画製作を監視し、またジョージア国家映画協会が設立されるなど、国の政策に沿った映画製作が進められました。

1930年代にはジョージア出身の監督たちが活動を開始し、ニコロズ・シェンゲラヤやミヘイル・チアウレリなどがフィーチャーされます。シェンゲラヤは彼の代表作『エリソ』で、民族文化に根ざした映画制作の重要性を強調しました。さらにこの時期、映画の制作技術や表現方法が進化し、社会主義のプロパガンダも考慮に入れられた作品が増加しました。

戦後の発展

第二次世界大戦後、ジョージア映画は独特の民族性を強調した作品を生み出し、1960年代にはテンギズ・アブラゼが国際的な評価を受け、カンヌ国際映画祭で短編賞を獲得します。1970年代から80年代にはジョージアの映画製作が活発になり、ノスタルジックな現在の視点から、ジョージアの文化や歴史を映し出す作品が多数製作されました。

この時期の映画制作者たちは、ペレストロイカの影響を受けながら自己表現と市場原理の狭間で葛藤しつつも、革新的なアプローチで映画製作を続けました。

独立後の映画界

1991年の独立後、ジョージアは内戦を経験しますが、1990年代後半から徐々に映画制作が再開され、2000年にはトビリシ国際映画祭が立ち上げられ、映画文化の再生が進みました。新世代の監督が登場し、特にザザ・ウルシャゼ監督やギオルギ・オヴァシュヴィリなどが国際的な舞台で注目を集めました。

2010年代以降、ジョージア政府は国内映画製作を支援する政策を強化し、国際共同製作による新しい潮流が生まれました。こうした新たな試みは、国際映画祭で高評価を受け、ジョージア映画の地位をさらに確立させることとなりました。

文化的再評価と国際的影響

ジョージア映画は、これまでソビエトやロシア映画史の一部として見られることが多かったものの、最近では独自の文化として再評価されています。ニューヨーク近代美術館が特集を組むなど、国際的にも注目される機会が増えました。また、日本でも特集上映が実施され、ジョージア映画の多様性が広く認識されるようになりました。

ジャンルを超えた作品が生まれ続け、歴史的背景を反映した映画が新たに発表される中で、ジョージア映画は今後もさらなる発展が期待されています。ますます増える国際的なコラボレーションや映画祭での活躍により、ジョージア映画の未来は明るいものとなることでしょう。

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