ジョーン・オブ・イングランド (1210-1238)

ジョーン・オブ・イングランド：スコットランド王妃の生涯

ジョーン・オブ・イングランド（Joan of England, 1210年7月22日 - 1238年3月4日）は、13世紀前半に生きたイングランド王女で、スコットランド王アレグザンダー2世の最初の王妃です。彼女はイングランド王ジョンとイザベラ・オブ・アングレームの間に生まれた長女で、兄にヘンリー3世、コーンウォール伯リチャードがおり、妹に神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世の皇后イザベラがいます。このように、ジョーンは当時のヨーロッパ王侯貴族と深い繋がりを持つ家系に生まれました。

結婚とスコットランド王妃としての生活

1221年6月19日、ジョーンはヨークのヨーク・ミンスターでアレグザンダー2世と結婚しました。この結婚は、イングランドとスコットランドの間の政治的な繋がりを強化する意味合いを持っていました。しかし、夫婦の間に子供は恵まれず、ジョーンは王妃としての短い生涯を終えることになります。

死去とその後

1238年3月4日、ジョーンはロンドン郊外で亡くなりました。彼女の死後、アレグザンダー2世はフランス貴族の娘マリー・ド・クシーと再婚し、後のスコットランド王アレグザンダー3世をもうけます。興味深いことに、アレグザンダー3世の最初の王妃マーガレットはヘンリー3世の娘であり、ジョーンの姪にあたります。この繋がりは、スコットランド王室とイングランド王室の複雑な関係を象徴していると言えるでしょう。

ジョーンの生涯が示すもの

ジョーン・オブ・イングランドの生涯は、中世ヨーロッパにおける王侯貴族の結婚が、単なる個人的な結びつきではなく、政治的な戦略の一部であったことを示しています。彼女の人生は短く、子供をもうけることはありませんでしたが、イングランドとスコットランドの関係において重要な役割を果たしたことは間違いありません。また、彼女の親族関係を通じて、当時のヨーロッパ各国の王室が互いに密接に繋がっていたことが分かります。ジョーンの存在は、歴史の舞台裏で複雑な人間関係が織りなすドラマを垣間見せてくれるでしょう。

参考文献

* 森護 『スコットランド王室史話』 大修館書店、1988年

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