ジロがゆく

『ジロがゆく』：真崎守の青春群像劇

『ジロがゆく』は、漫画家・真崎守氏による代表作のひとつであり、1960年代後半から1970年代半ばにかけて連載された青春物語です。雪深い山村を舞台に、中学1年生の森ジロの成長と葛藤、そして周囲の人々との関わりが、瑞々しくリアルに描かれています。

連載と単行本化

本作は当初、『別冊少年マガジン』にて1969年から1971年にかけて「ジロのいく道」「青葉の季節」「ジロがゆく」「ジロ！ジロ！」の四部作として集中連載されました。その後、舞台や登場人物を変えながら、複数の雑誌で不定期連載が続き、1976年まで続きました。

単行本は、三崎書房、朝日ソノラマ、講談社、ブロンズ社、宙出版など、複数の出版社から、時代に合わせて様々なタイトル、構成で刊行されています。特に、朝日ソノラマサンコミックス版と講談社文庫版は「ジロ！ジロ！」で完結しており、それ以降の作品は作者自身の解説があるまで、一般読者にはあまり知られていませんでした。

主要作品群

ジロのいく道 - ジロ！ジロ！: シリーズの中核をなす四部作。
ジロのいく道: ジロの転校と、新たな環境への適応、友人関係、思春期の悩みなどが描かれています。
青葉の季節: ジロのいく道の構成要素の一つとして単行本に収録されました。
ジロがゆく: ジロの成長と、周囲の人々との複雑な人間関係、性への目覚めなど、思春期の葛藤が深く描かれています。
ジロ！ジロ！: 海辺の町を舞台に、ジロの新たな出会いと経験が描かれます。朝日ソノラマサンコミックス版と講談社文庫版はこの作品で完結しています。
十二色のさすらい/さすらい: ジロがヨーコという少女の行方を追う物語。ヨーコの物語に多くのページが割かれており、ジロが主人公であることは物語を読めば分かりますが、掲載誌や読者層の特性から認知度は高くありませんでした。雑誌掲載時は「十二色のさすらい」でしたが、単行本化にあたり「さすらい」に改題され、大幅な修正が加えられています。
ロマン歳時記: 1年間を舞台に、ジロと少女との1シーンを毎月1話ずつ描いた作品。ジロが主人公であることが明確に示されていません。
（王へんに原）野行: 『週刊プレイボーイ』掲載作品。
白い蜃気楼: 『GORO』掲載作品。
せくさんぶる/花と修羅 連作/せくさんぶる: 複数の登場人物の物語が同時進行する作品。女子高生・真田しのぶの物語が中心となり、ジロは彼女と恋仲になり支える重要な登場人物となっています。雑誌掲載時は「せくさんぶる」でしたが、単行本化にあたり改題、修正が行われています。

番外作品

* 血の伝説: 『中二時代』掲載の吸血鬼伝説漫画。ジロが主人公として登場する作品ですが、『ジロがゆく』シリーズの単行本には収録されていません。

受賞歴

『ジロがゆく』は1971年に第2回講談社出版文化賞（児童漫画部門）を受賞しました。

まとめ

『ジロがゆく』は、単なる少年漫画にとどまらず、思春期の少年少女の心の揺らぎや葛藤、人間関係の複雑さを繊細に描いた作品です。様々な媒体で発表され、複数の出版社から刊行された歴史を持ち、現在でも多くの読者に愛され続けています。それぞれの作品に異なる魅力があり、真崎守氏の表現力の幅広さがうかがえます。

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