ジ・アーリー・ガレージ・イヤーズ

『ジ・アーリー・ガレージ・イヤーズ』は、イギリスのロックバンド、ザ・ブルートーンズがメジャーデビュー前に制作した貴重な音源をまとめたコンピレーション・アルバムです。このアルバムは、バンドの初期の音楽性を知る上で非常に重要な作品と言えるでしょう。

収録曲には、後にバンドの代表曲の一つとなる「ブルートニック」の原型である「No. 11」や、デビュー前に限定リリースされたシングル「スライト・リターン/ザ・ファウンテンヘッド」などが含まれています。さらに、未発表デモ音源も収録されており、当時のバンドの試行錯誤の様子を垣間見ることができます。

ただし、本作はあくまで初期のデモ音源集という性質上、音質にはやや難があります。リマスターは施されているものの、一部の楽曲はカセットテープからの音源を使用しているため、特に8曲目以降の音質は、現代の音楽と比較すると粗削りな印象を受けるかもしれません。しかし、その粗さこそが、当時のガレージバンドとしてのブルートーンズの生々しい魅力を伝えているとも言えるでしょう。

ライナーノーツは、音楽ジャーナリストのエズ・チェスターズが担当しており、楽曲の背景や制作秘話など、貴重な情報を提供しています。

興味深いエピソードとして、アダム・デヴリンによれば、クッキング・ヴァイナルとの契約時に、初期のデモアルバムをリリースすることを求められたことが、本作がリリースされるきっかけになったとのことです。しかし、その出自ゆえか、このアルバムはバンドの公式サイトのディスコグラフィーには掲載されておらず、公式なアルバムとしては扱われていないようです。

収録内容は以下の通りです。

1. Are You Blue or Are You Blind? (demo)
2. Talking to Clarry (demo)
3. Carnt Be Trusted (demo)
4. Slight Return (limited-edition UK/Japan 7" single)
5. No. 11 (Bluetonic) (from the Fierce Panda Return to Splendour EP)
6. The Fountainhead (demo)
7. Time and Again (demo)
8. Cut Some Rug (home-made four-track recording)
9. Talking to Clarry (home-made eight-track recording)
10. Are You Blue or Are You Blind? (home-made eight-track recording)

ザ・ブルートーンズのファンはもちろん、90年代のUKロックシーンに興味がある音楽ファンにとっても、聴き逃せない一枚と言えるでしょう。彼らの初期衝動が詰まった、貴重な音源集をぜひ体験してみてください。

もう一度検索