ジ・エンド (ビートルズの曲)

ビートルズの「ジ・エンド」

「ジ・エンド」（The End）は、ビートルズの1969年のアルバム『アビイ・ロード』に収録されている楽曲で、アルバムのB面のメドレー、「ザ・ロング・ワン」の締めくくりを飾る重要なトラックです。この曲はレノン＝マッカートニー名義ながら、実際にはポール・マッカートニーによって書かれました。特に注目すべきは、ビートルズの楽曲の中で唯一、リンゴ・スターがリーダーを務めるドラムソロが含まれている点です。

曲の特徴と構成

「ジ・エンド」内ではスターのドラムソロを皮切りに各メンバーの楽器ソロが展開されます。リンゴ・スターは元々ドラムソロに対して消極的でしたが、プロデューサーのジョージ・マーティンの説得により、ドラムの演奏に至りました。彼は、ドラムソロの演奏中にマーティンが拍子を数え続けていたことを思い出し、13小節という独特のタイミングでかわしてしまったことを語っています。このドラムソロは、アイアン・バタフライの楽曲「ガダ・ダ・ヴィダ」に触発を受けたものとされています。

ソロパートが終わると、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、ジョン・レノンの順でギターのソロがリレー形式で演奏され、各メンバーが2小節のソロを3回繰り返します。このセクションは、ハリスンの提案によって実現しました。ソロの後には、「And, in the end, the love you take / Is equal to the love you make.（結局、あなたが得る愛は、あなたが与える愛に等しい）」という歌詞が広がります。マッカートニーはこの言葉を、意味のあるメッセージとしてアルバムを締めるためにシェイクスピアから影響を受けて書いたと述べており、レノンはその哲学的な内容を皮肉交じりに評価しました。

レコーディングの過程

「ジ・エンド」のレコーディングは1969年7月23日にEMIレコーディング・スタジオのスタジオ3で始まりました。当初、テープボックスには「Ending」と記されており、トラックにはスターのドラム、レノンのギター、ハリスンのギター、マッカートニーのベースがそれぞれ収録されました。全体としては7テイク以上が記録されており、テープ内にはさらに多くのアウトテイクも存在していることから、33回ものリハーサルが行われたと考えられています。

7月30日にはメドレー全体の録音が完了し、その後の仮編集はボーカルやギターソロ、オーケストラの音を含まない状態で行われました。この試作品は、2019年にリリースされた『アビイ・ロード (スーパー・デラックス・エディション)』に含まれています。

8月にはボーカルとギターソロの追加が行われ、その後もドラムやオーケストラなどが加えられ、8月18日には完成を見ました。興味深い点として、ドラムソロには最初はタンバリンとギターの音が含まれていましたが、最終的にはミキシングによってカットされました。この未使用のセクションは、1996年にリリースされた『ザ・[[ビートルズ・アンソロジー]]3』で聴くことができます。

クレジットとその後の影響

この曲には、ポール・マッカートニーがリード・ボーカルとベースを担当し、ジョン・レノンとジョージ・ハリスンがギターを担当。リンゴ・スターがドラムを演奏し、ジョージ・マーティンはオーケストレーションを担当しています。最近では、マッカートニーがコンサートの際にエンディングナンバーとして頻繁に演奏し、2012年のロンドンオリンピックの開会式でも披露されています。さらに、メタルバンド「ビータリカ」は、メタリカの「ジ・エンド・オブ・ザ・ライン」のカバー時に「ジ・エンド」のメロディを使用しています。

ビートルズの「ジ・エンド」は、音楽史において特に重要な位置を持つ楽曲であり、そのメッセージや演奏技術は世代を超え、多くのファンに愛され続けています。

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