ジープ・コマンダー

ジープ・コマンダー：力強さと快適性を兼ね備えたSUV

ジープ・コマンダーは、ステランティス社（旧クライスラー、ダイムラークライスラー）のジープブランドが製造・販売するSUVです。堂々とした風格と高い走破性を両立させ、ジープブランドの頂点に位置するモデルとして知られています。本稿では、初代と2021年に復活した2代目モデルの特徴を比較しながら詳しく解説します。

初代コマンダー（2006年-2010年）：ジープ伝統の力強さと高級感

初代コマンダーは、2005年のニューヨーク国際オートショーで発表され、2006年に発売されました。ジープブランド初となる3列シート7人乗りモデルとして、家族向けの大型SUV市場に参入しました。

デザインとコンセプト

ボクシーなボディデザインは、ジープ・ワゴニアやウィリス・ステーションワゴンといった往年のジープモデルを彷彿とさせ、ブランドの伝統を継承しています。グランドチェロキーの初期デザイン案を基に開発されたというエピソードもあり、ジープファンから高い支持を得ました。角張った外観からは想像できないほど運転しやすく、狭い道や悪路でも扱いやすい点が特徴です。インテリアは、メカニカルなデザインのメーター類やアレンボルトなどを配置し、ジープらしい雰囲気を演出しています。

パワートレインと4WDシステム

日本仕様車には、4.7L SOHCと5.7L HEMIの2種類のV型8気筒エンジンが搭載され、余裕あるパワーとトルクを発揮しました。特に5.7L HEMIエンジンは、可変シリンダーシステム（MDS）により燃費性能を高めていました。トランスミッションは5速オートマチックで、マニュアルシフトモードも備えていました。

4WDシステムには「クォドラドライブII」を採用。電子制御式LSDを3箇所に装備することで、あらゆる路面状況で高い走破性を確保していました。ローレンジ4WDモードも備え、本格的なオフロード走行にも対応可能でした。

走行性能と居住性

強靭なラダーフレームとモノコックボディを組み合わせたシャシー構造、独立懸架式フロントサスペンションと5リンク式リアサスペンションにより、オンロードでの快適性とオフロードでの走破性を両立させていました。最小回転半径が5.6mと小回りも利く点が特徴的です。

3列シート7人乗りの広々とした室内空間は、スタジアムシートを採用。天井が高く開放感も抜群でした。2列目、3列目シートは可倒式で、フルフラットにすることも可能です。

その他

日本では高価格帯ということもあり、輸入台数が少なかったため、現在の中古車市場では希少なモデルとなっています。

2代目コマンダー（2021年-）：新たな時代への進化

11年ぶりに復活した2代目コマンダーは、初代とは異なるアプローチで開発されました。FFベースのミドルサイズクロスオーバーSUVとして、主にラテンアメリカやインドなどの新興国市場をターゲットとしています。日本市場にも導入され、話題となっています。

デザインと装備

エクステリアデザインは、グランドチェロキーLやグランドワゴニアの影響を受け、より洗練された印象です。インテリアは、10.25インチのデジタルメーターや10.1インチのUconnectナビゲーションシステムなどを採用し、快適性と先進性を両立しています。アダプティブクルーズコントロールやブラインドスポットモニターなどの安全装備も充実しています。

パワートレインと4WDシステム

日本仕様車には、2.0L直4ターボディーゼルエンジンとZF製9速AT、そしてJeepアクティブドライブ（電子制御式パワートランスファーユニット）が組み合わされています。Jeepブランドとしては初のディーゼルエンジン搭載モデルとなっています。セレクテレインシステムにより、様々な路面状況に対応できます。

居住性

3列シート7人乗りで、2列目シートにはタンブル機能、3列目シートにはリクライニング機能が備わっています。

限定車

2代目コマンダーでは、「ロンジチュード」や「OVERLAND」といった限定車が発売されています。これらの限定車は、装備や価格設定が異なり、それぞれ異なる魅力を持っています。

まとめ

初代コマンダーは、伝統的なジープのデザインと高いオフロード性能、そして7人乗りという利便性を兼ね備えたモデルでした。2代目コマンダーは、時代に合わせてFFベースのクロスオーバーSUVへと進化を遂げ、新たな市場を開拓しています。どちらのモデルも、ジープブランドのアイデンティティを受け継ぎつつ、それぞれの時代に合わせて最適化された魅力的なSUVと言えるでしょう。

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