スイスの地方行政区画

スイスの地方行政区画

スイスには、26のカントン（州）から成る独特の地方行政組織があります。これらカントンは、スイス連邦の基盤をなす重要な政治的単位です。カントンは、歴史的には19世紀半ばまで主権国家として存在し、独自の通貨や軍を保有していました。そして、現在の連邦制度は1848年に形成されたものです。

カントンの歴史と特徴

スイス連邦は16世紀に13の自治州から構成されており、それらは今日のカントンに相当します。また、当時は6つの森林州と7つの都市州という異なる形態が存在しました。スイスの独立は1499年、神聖ローマ帝国の支配から脱したことによって始まりました。都市州であるチューリッヒ、ベルン、バーゼルなどでは、富裕層が市議会を支配していた時代もありましたが、森林州はより民主的な政体を有していました。

各カントンは独自の憲法、議会、政府、裁判所を持ち、多くのカントンは一院制の議会を採用しています。議会の規模は州によって異なり、議席数は58から200の範囲で変動します。一部のカントンでは総会（Landsgemeinden）を通じての議決が行われており、アッペンツェル・インナーローデン準州とグラールス州でこの制度が取られています。

また、スイス連邦の憲法に基づき、連邦が担当する事項以外の問題はすべてカントンが管理します。そのため、各カントンには大きな自治権があり、地域の特色やニーズに応じた政策が実施されています。州の面積は37平方キロメートルから7,105平方キロメートル、人口は14,900人から1,244,400人まで多様です。

新しいカントンの設立は1978年のジュラ州が最後であり、それ以降は大きな変化がありません。場合によっては、カントンを23と数えることもあります。その際、準州のウンターヴァルデン（オプヴァルデンとニトヴァルデン）、アッペンツェル（アウサーローデンとインナーローデン）、バーゼル（バーゼル＝シュタットとバーゼル＝ラント）はそれぞれ半分として数えられます。この区分けは主に歴史的な背景に起因しています。

地方自治体の構成

スイスには約3,020のコミューン（市町村）が存在し、それぞれのコミューンは州ごとに「選挙人団」と行政機関の二機関制を採ることが一般的です。一部の州では、加えて議会が存在する三機関制も採用されていますが、これはあまり普及していません。

また、州とコミューンの間には郡が設けられることがありますが、これは多くの場合、単なる州の行政区分に過ぎず、法人格を持たない場合が多いです（シュヴィーツ州とグラウビュンデン州には法人格を持つ郡もあります）。郡の権限は州によって異なります。

市民コミューンは、農村部の共有地管理団体や、都市部の自治組織から発展してきたもので、19世紀には市町村の設立に際して法的位置付けが整理されました。現在これらの自治体は、主に有限な権限のもと、共有財産の管理や公益活動を行っています。

このようにスイスの地方行政区画は、多様性と地域の特色を活かした組織構造を有し、自治権が尊重される仕組みとなっています。

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