スイス車両エレベーター製造

スイス車両エレベーター製造（SWS）について

スイス車両エレベーター製造（Schweizerische Wagons- und Aufzügefabrik AG、略称：SWS）は、スイスのチューリヒ州シュリーレンに本拠を構える鉄道車両メーカーであり、エレベーターの製造も手がけていた企業です。ローカルな呼称として「WAGI」が用いられることもあります。以下にその歴史と日本との関わりについて詳しく説明します。

沿革

SWSの歴史は、1895年に「Firma Geissberger & Cie.,」としての設立に始まります。設立当初、シュリーレン駅近くに車両工場をオープンし、その後4年後には社名を「Schweizerische Wagen- und Wagons-Fabrik AG」に変更し、チューリヒに本社を移しましたが、さらに1年後にはシュリーレンに戻ります。1901年には再び社名を変更し、「Schweizerische Wagonsfabrik AG in Schlieren-Zürich」となりました。

1903年にはスイス連邦鉄道（SBB）から客車の受注を受け、1906年には約1,000両、1909年には約2,000両に達する車両を納入しました。1917年には「Aufzüge- und Räderfabrik Seebach AG」からエレベーター事業を引き継ぎ、社名を「Schweizerische Wagons- und Aufzügefabrik AG, Schlieren-Zürich」に改称しました。

1956年になると、製造業者シンドラー・グループの親会社である「Pars Finanz AG」がSWSの30%の株式を取得し、1960年にはSWSが完全にシンドラー・グループの一部となります。その後、1980年から1981年にかけてスイスにおける鉄道車両メーカーの再編が進む中、SWSはエレベーターの標準部品の製造や改造、検査を専門とし始めました。しかし、1983年にはシンドラーがSWSを閉鎖する決定を下し、1985年8月の末に抗議の中でその閉鎖が実行されました。工場跡地はすぐに更地となり、その後は新聞「Neuen Zürcher Zeitung（NZZ）」の印刷所が建設されるなど、新たなビジネスエリアに生まれ変わりました。

日本の鉄道との関連

SWSの製品は日本の鉄道向けにも供給されており、脈々と続く関係がありました。1920年代には、ブラウン・ボベリ（BBC）の電気機関車や電動機、台車セットが製造されています。

国鉄ED12形電気機関車は1923年に2両が日本に輸入され、車体や台車などの部品がSWSによって製造されました。また、同年には吉野鉄道向けに電機1形電気機関車が3両、1927年には小田原電気鉄道のために登山電車用として5両分の台車セットが輸入されています。これらはSWSの製造された部品を含んでいました。

その後、日本の鉄道業界が国産化へとシフトする中で、SWSからの製品の輸入は途絶えますが、1950年代初頭に近畿車輛と技術提携が結ばれ、「シュリーレン式台車」と呼ばれる技術が日本の鉄道に導入されていきました。このように、SWSは日本の鉄道技術の発展に寄与した重要な存在だったのです。

まとめ

スイス車両エレベーター製造（SWS）は、その創立から閉鎖まで、数多くの鉄道車両を生産し、エレベーターの分野へも進出しました。そして日本の鉄道産業との深い関わりをもつ企業でした。今なお、彼らの技術や製品が記憶され、鉄道史の一部として重要な役割を果たしています。

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