国鉄ED12形電気機関車

国鉄ED12形電気機関車

国鉄ED12形電気機関車は、日本国有鉄道（国鉄）が1923年に輸入した直流用電気機関車です。鉄道省が電化を進める中、スイスのブラウン・ボベリ（BBC）とシュリーレン（SWS）の協力により製造されました。当初は1020形と呼ばれていましたが、1928年の形式改正に伴いED12形に名称が変更され、ED12 1とED12 2の2両が存在しました。

車体構造

ED12形の車体は箱型で、前後には2軸ボギー式台車が装備されています。妻面には3枚の窓があり、左側窓は乗務員の出入り口となっています。中央と右の2枚分の窓の下には、制御器やブレーキ装置が隠された操作卓が設置されています。設計上、牽引力は台車同士の連結と台車端梁の連結器を通じて伝達され、車体には牽引力が直接伝わらない構造となっています。

車体の形状は長方形ではなく、運転台側では前部が絞られており、全体として八角形の形をしています。設計時には、運転台側壁面には計器類が配置され、側面には通風用のルーバーは設けられず、機器室には採光用の窓が点在しています。屋根は前後で庇となっており、前照灯はその庇の前端に取り付けられています。

主要機器

ED12形は複数の電圧（600V、1200V、1500V）に対応する設計が特徴的です。主電動機はBBC社製の直流整流子式電動機が使用され、各動軸に装着されています。この機関車は、歯車構造の工夫により高い性能を誇ります。歯車は両側から動力を伝達し、動輪の直径は1400mmに設定されています。

制御および冷却システム

主制御器は、電動カム式制御器で構成されており、複雑な操作が可能です。制御器は総括制御にも対応しています。また、冷却機能は主電動機の電動機と一体化された送風機によって補われ、効率的に機器を冷却します。

台車とブレーキ装置

台車はリベット組立てによって作られており、各軸には重ね板ばねが用いられています。砂箱も装備され、駆動時の空転を防止する工夫がなされています。ブレーキはウェスティングハウス製の自動空気ブレーキを使用し、効率的な制動が実現されています。

運用歴

ED12形は国鉄で戦後まで運用され、1949年には西武鉄道に譲渡されました。移籍後はE51形に改称され、様々な改良工事が行われましたが、最終的には1976年と1987年にそれぞれ廃車となりました。また、保存機としてE52が存在し、静態保存されています。

ED12形はその高性能から多くの評価を得ましたが、保守が難しい点も指摘されていました。この機関車は日本の鉄道史において重要な役割を果たした存在であり、その遺産は今でも心に残っています。

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