スイングドア

スイングドアの概要

スイングドアは、ヒンジを基点に前後に回転して開閉するドアです。この特性により、通常のドアのようなドアノブを用いた操作が不要で、押したり引いたりするだけで開くため、業務の効率化が図れます。主にスーパーマーケット、工場、その他の商業施設で間仕切りとして広く使用されています。

特徴

スイングドアの一番の特徴は、「グラビティヒンジ」という特殊な装置を採用している点です。ドアパネルにかかる圧力によって、ヒンジが螺旋状に上昇し、その後は自重で元の位置に戻る仕組みです。これにより、荷物を運ぶ台車やカゴ車を押し当てても容易に通過でき、手を使わずに開閉できるため、特に搬入出作業の効率化に貢献しています。

ドアの構造は、内部にランバーコア合板を用い、その外側にステンレスやアルミなどの金属製表面材を施すことが一般的です。この構造により、ドアは高い耐久性と強度を持ち、長期間利用できることが大きな利点です。実際、条件によっては10年以上にわたって使用可能です。

最近では、スーパーマーケットなどの運営側が、営業エリアにドアが開かないような工夫を施す事例が増えてきました。無目などの金具を設置して風の流入を防ぎ、また顧客との接触事故を未然に防ぐ目的です。

日本におけるスイングドアの歴史

日本でスイングドアが普及したのは1970年代後半です。この時期、輸入商社である日本ユニフロー販売が米国Eliason Corporationのスイングドアモデル「Easy Swing」を国内に導入したのがきっかけとされています。この技術は、ダイエーやジャスコなどのナショナルチェーンに採用され、一気に普及が進みました。

現在では、スーパーマーケットだけでなく、セブンイレブンやローソンといったコンビニエンスストアや、ドラッグストア、ホームセンター、飲食店など、さまざまな業種で使用されています。

日本のスイングドアメーカー

スイングドアの市場規模は、2009年時点で約20億円程度とされています。しかし、あまり多くのメーカーが参入しているわけではなく、実質的には2社が大きなシェアを持つニッチ市場となっています。特に、ユニフローはEliason社の製品を国内に導入した最初の企業の一つであり、現在も公称で8割近い市場シェアを維持しています。

主要なスイングドアメーカーは以下の通りです:

• - ユニフロー
• - 株式会社正和
• - 株式会社スイング
• - 河淳株式会社

アメリカのスイングドアと日本の違い

かつて、アメリカの西部開拓時代には「ウエスタン・サルーン」と呼ばれる飲食施設が存在しました。これらの施設には、前後に開閉できるスイングドアが設けられ、訪れる人々を迎え入れていました。日本では、このような透明感のあるドアを「ウエスタンドア」と呼ぶこともあります。

このように、スイングドアは商業施設において非常に重要な役割を果たしながら、進化を遂げています。今後もさらなる発展が期待される建具の一つです。

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