スイートハート・チョコレート

スイートハート・チョコレート（Sweetheart Chocolate）

『スイートハート・チョコレート』は、2013年に製作された中国と日本の合作による恋愛映画です。中国語のタイトルは『甜心巧克力』。

製作背景と企画

本作の企画は、日本のゆうばり国際ファンタスティック映画祭に参加した中国の女性プロデューサー、米子（ミシェル・ミー）氏が、夕張市民の映画に対する情熱に深く感銘を受けたことから始まりました。この感動を原点に、彼女は映画監督として篠原哲雄を、そして主演女優としてリン・チーリンを迎えることを構想。こうして、国境を越えた映画製作プロジェクトが始動しました。監督である篠原哲雄を中心とし、日中両国のスタッフが協力して撮影が行われました。主なロケ地となったのは、北海道の夕張と札幌、そして大都市上海です。主演のリン・チーリンに加え、池内博之をはじめとする日中両国の実力派俳優たちが脇を固め、物語世界に深みを与えています。

物語の概要

物語の舞台となるのは、美しい雪景色に包まれた冬の北海道・夕張と、活気に満ちた現代の上海。主演のリン・チーリンが演じるのは、愛する人の夢と情熱を受け継ぎ、チョコレート作りに打ち込む中国人留学生リンユエです。彼女と、池内博之演じる男性、そして福地祐介演じるもう一人の男性。この三人の男女を中心に、およそ10年という長い歳月をかけて織りなされる、切なくも温かい純愛の物語が描かれます。チョコレート作りというモチーフが、登場人物たちの想いや繋がりを象徴的に表現しています。

キャストとスタッフ

主要なキャストは以下の通りです。

リンユエ：リン・チーリン
木場総一郎：池内博之
星野守：福地祐介
加藤佑作：山本圭
木場千恵子：左時枝
陳廷嘉（チェン・ティンジャー）

製作陣には、監督の篠原哲雄のほか、プロデューサーとして龐洪、米子（ミシェル・ミー）、小畑真登が名を連ねています。脚本は湯迪と米子。音楽は著名な作曲家である久石譲が担当し、情感豊かな旋律で物語を彩っています。撮影監督は上野彰吾、美術は周欣人、小澤秀高、録音は山方浩がそれぞれ担当しています。

公開と受容

本作は2012年に撮影が終了し、同年9月には完成を迎えています。映画祭での上映も国内外で相次ぎました。2012年10月25日には、第25回東京国際映画祭の「アジアの風」部門で上映。翌2013年2月24日には、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2013のクロージング作品として上映され、注目を集めました。さらに、韓国で開催された光州国際映画祭では、最高賞である審査員大賞を受賞するなど、国際的にも評価されました。

中国本土では、2013年11月8日に一般公開され、公開初週の興行ランキングで第9位を記録するなど一定の成功を収めました。一方、日本での一般公開は遅れることとなります。当時の政治情勢、特に尖閣諸島問題を巡る日中関係の緊張が影響したとも言われていますが、2014年のお蔵出し映画祭でグランプリを受賞したことが追い風となり、ようやく公開への道が開かれました。製作から実に約3年半の歳月を経た2016年3月26日、シネ・リーブル池袋ほかで全国公開が実現し、日本の観客にも届けられることとなりました。

撮影期間中には、出演者の池内博之が中国版ミニブログ「新浪微博」を開始し、撮影現場の様子などを綴るなど、両国のファンに向けて積極的に情報発信を行っていたことも特筆されます。

国境を越えた製作体制で生まれた『スイートハート・チョコレート』は、文化の違いを乗り越え、人間の普遍的な感情である「愛」を丁寧に描き出した作品と言えるでしょう。

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