スウェーデンの教育

スウェーデンの教育制度：概要から課題まで

スウェーデンでは、6歳から16歳までの子供と若者を対象とした義務教育が、無償で提供されています。教育は秋学期と春学期の2学期制で、それぞれ8月末からクリスマス休暇まで、そして年始から6月中旬まで行われます。

教育機関

スウェーデンの教育システムは、基礎学校、高校、大学、カレッジの4段階から構成されています。学校は、自治体運営の公立学校と、国からの補助金が大部分を占める私立の自立学校に大別されます。さらに、成人教育機関や国民高等学校、民間教育企業なども多様な教育機会を提供しています。

歴史的には、基礎教育は13世紀に始まり、高校レベルの教育は17世紀、大学レベルの教育は1477年のウプサラ大学設立にまで遡ります。

教育行政

教育行政は、教育省が中心的な役割を担い、学校教育庁がプリスクールから学校、成人教育までを管理・支援し、統計情報を収集しています。学校監査庁は監査や自立学校の設置認可、いじめ問題への対応などを行い、高等教育に関しては、高等教育局が評価や質保証、高等教育委員会が進学情報提供や試験運営などを担当しています。

教育段階別詳細

中等教育まで

保育・幼児教育

0歳からプリスクールへの参加が可能で、保育と発達・学習の機会を提供します。3歳からは年間525時間以上のプリスクール参加の権利が保障されています。

就学前・初等・前期中等教育

6歳からは就学前学級が義務化され、その後10年間の基礎学校教育が続きます。基礎学校では、筆記用具や給食が無償で提供されます。成績評価は6年生の秋学期から始まり、6年生までは記述評価、それ以降はA～Fの6段階評価になります。3、6、9年生には全国統一テストが実施されます。特別支援学校なども存在します。

後期中等教育

高校にあたる後期中等教育（ギムナジウム）は3年間で、高等教育進学準備と職業教育の2つの学習キャリアが用意されています。基礎学校の成績を基に入学が決定されます。

自立学校

1992年より、公立学校と同等の助成金が私立学校にも支給されるようになり、学校選択制が導入されました。自立学校は、オルタナティブ教育、国際教育など、様々な教育理念に基づいた学校が多く存在します。入学選抜や学費は禁止されています。

高等教育

スウェーデン人、EU圏内居住者、スイス市民は、大学・カレッジの学費が無料です。留学生は、スウェーデン語と英語の能力を証明する必要があります。学生支援制度も充実しており、経済的な援助を受けられます。公立大学に加え、私立大学も存在します。

教育の民主性と法規

スウェーデンの高等教育は、地方政府による設置、学生の意思決定への参加、地域社会との連携などを原則としています。また、「高等教育機関における学生の平等待遇法」により、性別、民族、出身などに関わらず平等な教育機会が保障されています。

スウェーデン教育史

スウェーデンの教育制度は、19世紀の小学校の導入から、義務教育年数の延長、学校制度の統合など、歴史的に進化を遂げてきました。

課題と批判

1990年代以降の地方分権化と自立学校制度の導入は、地域間の教育格差拡大などの問題を引き起こしています。PISA調査での低迷や教師の待遇問題なども課題となっています。また、移民増加に伴い、外国籍生徒への学習支援も重要な課題です。スウェーデンは寛容な移民政策をとっていますが、不法滞在者の子供への学習権保障など、複雑な問題を抱えています。

参考文献（省略）

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