スカーレット (テレビドラマ)

NHK連続テレビ小説『スカーレット』：信楽焼と女性陶芸家の物語

2019年度後期に放送されたNHK連続テレビ小説第101作『スカーレット』は、令和最初の朝ドラとして注目を集めました。放送期間は2019年9月30日から2020年3月28日まで。信楽焼で有名な滋賀県信楽を舞台に、女性陶芸家・川原喜美子の生涯が力強く描かれています。

制作背景とキャスティング

2018年12月3日、NHK大阪放送局で制作会見が行われました。本作は、実在の女性陶芸家の人生をそのまま描くのではなく、信楽焼の女性陶芸家の草分け的存在であり、骨髄バンク設立運動にも尽力した神山清子氏とその家族の半生を参考に、オリジナルストーリーとして制作されました。

ヒロイン・川原喜美子役には、戸田恵梨香さんが抜擢されました。企画段階からの信楽取材時から名前が挙がり、戸田さんの快諾を得てキャスティングが決定しました。オーディションは行われず、映画や民放ドラマで主演経験のある女優が3作連続で起用されることになりました。

脚本は、女性を主人公とした作品を数多く手掛けてきた水橋文美江氏が担当。「50代の今だからこそ書けるヒロイン像」を表現したいという思いから、視聴者に元気を届けられる作品を目指したと語っています。神山清子氏の実作品を劇中で使用していることからも、神山氏への深い敬意がうかがえます。

主要出演者の発表は2019年2月21日、追加キャストの発表は5月23日に行われ、語りには中條誠子アナウンサーが起用されました。撮影は2019年4月2日に滋賀県長浜市でクランクイン。その後、信楽町でも撮影が行われ、2020年2月29日にクランクアップを迎えました。

ストーリー概要

昭和22年、9歳の喜美子は、父の事業失敗により大阪から信楽へ転居します。貧しい生活の中、様々な困難に直面しますが、周囲の人々との出会いを通して成長していきます。中学卒業後、家計を助けるため大阪で下宿屋の女中として働く喜美子。そこで出会う人々との交流の中で、彼女は自分の夢を見つけていきます。

その後、信楽に戻り、絵付け師として働き始める喜美子。師匠である深野心仙との出会い、そして陶芸家を目指す八郎との結婚など、人生の転機を幾度も経験します。

「かわはら工房」を設立し、陶芸家として成功を収める喜美子ですが、夫・八郎との葛藤、そして息子の病気など、新たな試練に直面します。それでも彼女は、自分自身の信じる道を歩み続けようとします。

登場人物

本作には、戸田恵梨香さん演じる喜美子をはじめ、北村一輝さん、富田靖子さん、桜庭ななみさん、福田麻由子さんなど、実力派俳優が多数出演。個性豊かなキャラクターたちが織りなす人間模様も見どころの一つです。

放送と反響

初回視聴率は20.2％と高く、平均視聴率は19.4％を記録しました。しかし、週間平均視聴率20％超えは数週間に限定され、期間平均視聴率20％割れは『まれ』以来となりました。

『スカーレット』は、単なる朝ドラの枠を超え、信楽の地域活性化にも貢献しました。放送を機に「スカーレット」で甲賀を盛り上げる推進協議会が発足し、観光客誘致などの活動が行われました。信楽伝統産業会館の来館者数は、放送開始後大幅に増加しました。

さらに、本編終了後には、松下洸平さんと桜庭ななみさん出演のリモート制作ドラマ『ホーム・ノット・アローン』のネット配信も実施されるなど、幅広い展開がなされました。

まとめ

『スカーレット』は、女性陶芸家の生き様を丁寧に描き、視聴者に感動と勇気を与えた作品です。信楽の美しい風景、個性豊かな登場人物、そして力強い主題歌「フレア」も相まって、多くの視聴者の心を掴みました。 視聴率の推移にも表れているように、時代背景や社会情勢の変化も反映され、様々な世代の共感を呼んだ作品と言えるでしょう。

もう一度検索