スガウリ条約

スガウリ条約とは

スガウリ条約（Sugauli Treaty）は、1815年12月2日にネパールのスガウリで締結された、グルカ戦争の講和条約です。この条約は、1814年から始まったグルカ戦争の終結を正式に定めるものであり、ネパールとイギリス東インド会社の間で結ばれました。

条約締結の背景

1814年に勃発したグルカ戦争は、ネパール王国とイギリス東インド会社の間で行われた軍事衝突です。ネパールは当初、その精強なグルカ兵の活躍で善戦しましたが、最終的にはイギリス軍の圧倒的な軍事力の前に劣勢に立たされました。イギリス軍はネパールの首都近郊にまで迫り、ネパールは降伏を余儀なくされました。

この状況下で、ネパールはイギリスとの和平交渉に入り、その結果としてスガウリ条約が締結されました。条約は、イギリスの優位な立場のもとで締結され、ネパールにとっては不利な条件を多く含むものでした。

条約の内容

スガウリ条約の主な内容は、以下の通りです。

1. 領土の割譲: ネパールは、シッキム、ダージリン、タライ地方などの広大な領土をイギリスに割譲しました。これらの地域はネパール領土の約3分の1に相当し、ネパールは大幅な領土縮小を余儀なくされました。
2. 補償金の支払い: イギリスは、割譲したタライ地方からの収入に相当する額として、ネパールに20万ルピーを支払いました。しかし、この支払いは一時的なものでした。
3. タライ地方の一部返還: イギリスは、その年の末にタライ地方の一部をネパールに返還し、補償金の支払いも停止しました。これは、イギリスがネパールに対する圧力を緩和し、一定の友好関係を築こうとした結果と見られます。

条約の影響

スガウリ条約は、ネパールの歴史において非常に重要な転換点となりました。この条約によって、ネパールは広大な領土を失い、その後の国境線がほぼ確定しました。また、グルカ戦争での敗北と条約の締結は、ネパールの政治、経済、社会に大きな影響を与えました。ネパールは、この条約以降、イギリスとの関係を維持しながら、国内の近代化を進める道を歩むことになりました。

参考文献

佐伯和彦『ネパール全史』明石書店、2003年。

関連項目

グルカ戦争

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