スキマトロン

スキマトロン（Schematron）は、XML文書の構造を検証するための言語であり、XML文書木構造における特定のパターンの存在や不存在を記述することで、文書の妥当性を検証します。その簡潔さと強力な表現力から、XML文書の構造検証において重要な役割を果たしています。スキマトロンの記述にはXPathが用いられることが多く、これにより複雑なパターンを柔軟に定義できます。

スキマトロンは、文書スキーマ定義言語（DSDL）の第3部を構成しており、他のスキーマ言語、例えばDTD、RELAX NG、XML Schemaなどによって定義されたスキーマを補完する目的で使用されます。これらのスキーマ言語では表現が難しい制約、例えば、共通出現制約（特定の要素が複数回出現する回数に関する制約）、非正規制約（要素の出現順序に関する制約）、文書間制約（複数の文書間での要素の整合性に関する制約）などをスキマトロンを用いて記述することができます。

スキマトロンの開発者であるRick Jelliffeは、スキマトロンを「他のスキーマ言語では手が届かないところに手を届かせることができる羽毛ばたき」と表現しており、その柔軟性と補完的な役割を強調しています。この言葉は、スキマトロンが他のスキーマ言語では捉えきれない、より複雑で詳細な構造制約を記述できることを示唆しています。

スキマトロンは、ISO/IEC 19757として標準化されており、その正式名称は「文書スキーマ定義言語（DSDL）第3部 規則に基づく検証 - スキマトロン」です。これにより、国際的な標準規格として広く認知され、多くのシステムやプロジェクトで利用されています。

スキマトロンは、XML文書の妥当性検証において、その補完性と柔軟性から非常に重要な役割を果たします。他のスキーマ言語と組み合わせることで、より複雑で厳密な構造制約を記述でき、XML文書の品質向上に貢献しています。特に、文書間の整合性や複雑な出現制約を記述する必要がある場合に、スキマトロンはその真価を発揮します。XPathを用いることで、文書の構造をより細かく指定できるため、きめ細かい検証が可能となります。

また、スキマトロンは、特定のソフトウェアに依存しないため、様々な環境で使用できます。その標準化された仕様により、異なるシステム間でも同じルールに基づいた検証が可能です。これにより、XML文書の交換や共有において、文書の整合性を保証するための重要な基盤となっています。

スキマトロンの学習にはXPathの知識が不可欠ですが、その習得によってXML文書の検証能力が飛躍的に向上します。スキマトロンは、XML関連技術者にとって、習得しておきたい重要なツールの一つと言えるでしょう。

関連リンク:

ISO Schematron Home Page
Academia Sinica Computing Centre's Schematron Home Page
Schematron Wiki including Implementer's FAQ
Schematron online tutorial and reference (in german)
* New book on Schematron (in german)

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