スキャラワグ

スキャラワグとは

スキャラワグ（英: scalawag）は、アメリカ南部の歴史において特有の立ち位置を持つ言葉です。この用語は、南北戦争が終結した後のレコンストラクション時代（1865年～1877年）に、元アメリカ連合国に所属していた白人の中で共和党員へと転向した者たちを指します。スキャラワグは、当初「裏切者」や「変節漢」を意味する軽蔑的な表現でしたが、現在では歴史的な文脈の中で広く使われています。

歴史的背景

南北戦争が終わった後、アメリカ合衆国政府は南部の州において再建を行いました。この過程で、スキャラワグたちは解放された黒人や北部から移住してきたカーペットバッガーと呼ばれる者たちと協力し、地方政府の支配権を握ることに成功しました。特にバージニア州を除く南部各州で、彼らの政治活動は非常に顕著でありました。具体的には、1866年から1877年の間、州政府において彼らの影響力は強まりました。

スキャラワグの中でも特に重要な人物には、南北戦争中にアメリカ連合国の上級将校であったジェイムズ・ロングストリートや、ジョージア州知事であったジョセフ・ブラウンがいます。彼らは政治的、社会的な変革の中で重要な役割を果たしました。また、1867年に制定されたレコンストラクション法では、アメリカ連合国を支持していなかった者たちが「鉄の誓い」を通じて選挙権や被選挙権を得ることが可能でした。

アラバマ州におけるスキャラワグの影響

アラバマ州では、スキャラワグが共和党を支配する時代がありました。1868年から1881年にかけて、117名の共和党員が州の重要な官職に選出され、その中には南部白人や北部出身者、さらには黒人もいました。この中で、スキャラワグは特に州政府において優位に立ち、州の行政職や司法官に多数推薦され、実際に選出されました。

たとえば南部白人の候補者51名の中で、彼らの地位は非常に強固でありました。一方、連邦政府の役職に選出されたスキャラワグは少数派でしたが、46％の高い比率が連邦議会の代議員になることができました。

サウスカロライナ州とジェイムズ・ラスク・アルコーン

サウスカロライナ州には約10万人のスキャラワグが存在し、白人人口の約15％を占めていました。この地域では、経済的な特権を享受する一部の裕福な白人と民主党員との協調が求められていました。中でも有名なスキャラワグは、ミシシッピ州のジェイムズ・ラスク・アルコーンです。彼は1865年に上院議員に選出され、共和党による解放人の参政権を支持しました。その後知事としても活躍し、教育改革や黒人向けの公立学校制度の確立に努めました。

スキャラワグに対する批判とその課題

スキャラワグたちはリディーマーと呼ばれる保守的民主党員たちから非難を受けました。彼らは政治的腐敗の象徴として批判され、特に南北戦争中に合衆国に忠実であったことが問題視されました。批判者は、スキャラワグがフィナンシャルや政治的に腐敗し、有害な政府を支持したと主張しましたが、歴史的にはそれに対する反論も存在しています。

社会的影響とその後

スキャラワグたちは政治的活動を通じて南部社会に多大な影響を及ぼしました。彼らには元奴隷所有者や奴隷制度廃止論者も含まれており、社会的階層の再構築に寄与しました。特にアパラチア地方では、彼らが農場主層に対する不満の象徴となり、レコンストラクションに対する期待が高まった時期もありました。

しかし、やがて民主党が再び権力を取り戻し、スキャラワグは少数派と化しました。多くの政治家が保守的立場にシフトし、スキャラワグの活動は次第に衰退していくこととなります。この時代は後の人種差別法やジム・クロウ法の出発点にもなり、南部社会の不平等が再び強化される結果を招くこととなりました。

結論

スキャラワグの時代は、アメリカ南部における政治のダイナミクスが大きく変化した時期を象徴しています。彼らは南北戦争後の重苦しい雰囲気の中で、希望と絶望の狭間で奮闘しました。一般的には軽蔑的に捉えられているスキャラワグですが、その存在は南部の政治史を語る上で重要な要素といえます。

もう一度検索