スキャンダル -人生のターニングポイント-

スキャンダル 〜人生のターニングポイント〜：社会正義とメディアの葛藤

2019年に公開されたカナダ映画『スキャンダル 〜人生のターニングポイント〜』（原題:Run This Town）は、社会の不正に立ち向かうジャーナリストの葛藤と、メディアの役割を問いかける重厚なドラマです。監督は本作が長編映画デビュー作となるリッキー・トールマン、主演はベン・プラットが務め、日本での劇場公開はありませんでしたが、2021年よりデジタル配信で視聴可能となりました。

不正に挑む若きジャーナリスト

主人公ブラム・シュライヴァーは、社会の不正を正したいという強い信念からジャーナリストの道を志します。地元紙の記者として採用されたものの、現実のメディアはクリック数を稼ぐことに汲々としており、シュライヴァーは理想と現実のギャップに苦悩します。そんな中、彼はトロント市長ロブ・フォードのコカイン使用という衝撃的な情報を掴み、危険を顧みず調査に乗り出すのです。

スキャンダルの渦中

シュライヴァーの調査は、市長の隠蔽工作という巨大な壁に阻まれます。市長周辺の者たちは、スキャンダルを隠蔽しようと必死で、シュライヴァーは様々な困難に直面します。市長を演じるダミアン・ルイスは、特殊メイクとボディスーツを駆使し、フォード市長をリアルに体現しています。

キャストと製作

本作には、ベン・プラットの他に、ニーナ・ドブレフ、メナ・マスードといった実力派俳優が脇を固めます。2018年には主要キャストの発表や撮影開始が報じられ、2020年にはサウンドトラックも発売されました。サウス・バイ・サウスウエストでのプレミア上映や、Twitter社との連携したプロモーション活動など、様々なアプローチで公開を盛り上げました。

批判と評価

しかし、本作は公開後、大きな議論を巻き起こしました。実在の女性記者ロビン・ドゥーリトルが主導した調査を、男性記者が主人公として描かれている点について、批判が殺到したのです。ドゥーリトル自身もSNSで疑問を呈するなど、大きな波紋を呼びました。これに対し、プラットとトールマン監督は、本作は架空の物語であり、ドゥーリトル氏をモデルにしたものではないと説明しています。

批評家の評価は、Rotten Tomatoesでは批評家支持率47%、Metacriticでは加重平均値57/100と、平凡な評価にとどまりました。

まとめ

『スキャンダル 〜人生のターニングポイント〜』は、社会正義、メディアの役割、そして歴史的事実の映画化における倫理的問題など、様々なテーマを織り交ぜた複雑な作品です。若きジャーナリストの葛藤、スキャンダルの陰謀、そして現実とフィクションの境界線といった要素が絡み合い、観る者に多くの問いかけを投げかけます。デジタル配信で手軽に視聴できるため、是非一度鑑賞し、ご自身の意見を確かめてみてください。

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