スキージャーナル

スキージャーナル

「スキージャーナル」は、かつて日本の多くのスキー愛好家から親しまれていた月刊の専門雑誌です。半世紀以上にわたり、日本のスキーシーンの発展に深く関与してきました。

創刊とその黎明期

この雑誌の歴史は、1966年に出版社の冬樹社から始まりました。当時の日本では、スキーがウィンタースポーツとして徐々に普及し始めていましたが、スキーという特定のテーマに絞った月刊誌はまだ珍しい存在でした。そのような状況下で「スキージャーナル」が創刊されたことは画期的であり、日本のスキーメディアの先駆けとなりました。

創刊当初から、本誌は単なる情報提供にとどまらず、日本のスキー界におけるオピニオンリーダーとして重要な役割を担いました。先進的なスキー技術論や、新たなスキーの楽しみ方を提案するなど、読者だけでなく、スキー指導者や関連業界にも大きな影響を与えました。

発行元の変遷と誌面内容の拡充

1970年代に入ると、「スキージャーナル」の発行元は冬樹社から変更されます。冬樹社から独立する形で新たに設立されたスキージヤーナル株式会社が本誌の発行業務を引き継ぎ、その後、休刊に至るまで長きにわたり発行元を務めました。

スキージヤーナル株式会社体制下で、誌面内容はさらに充実していきました。主な掲載内容としては、以下のようなものが挙げられます。

国内外主要スキー競技の速報、詳細なレポート、選手のインタビュー
基礎スキー技術、上級者向けテクニック、コブ斜面やパウダーなど多様な状況に対応する実践的なレッスン記事
最新スキー用具（スキー板、ブーツ、ウェア、アクセサリーなど）のレビューや特集
全国各地のスキー場ガイド、リゾート情報
著名なスキーヤーや指導者によるコラム、連載
スキーにまつわる文化、歴史、自然に関する記事

これらの情報は、初心者から競技者まで、幅広いレベルのスキーヤーにとって貴重なものであり、多くの読者が毎月10日の発売日を心待ちにしていました。

全日本スキー連盟公式教本としての影響力

「スキージャーナル」が日本のスキー界に与えた影響の中で、特筆すべきは、雑誌の付録として提供されたスキー教本です。この教本は、日本のスキー界を統括し、技術の統一と普及を推進する全日本スキー連盟（SAJ）の公式教材としても認定され、広く使用されました。

SAJ公式教本としての採用は、「スキージャーナル」の技術解説の信頼性を高めるとともに、日本のスキー技術の統一化とレベル向上に大きく貢献しました。多くのスキーヤーがこの教本を参考に技術を習得し、また多くの指導者がこの教本を基に指導を行いました。これは、一雑誌の枠を超え、日本のスキー文化そのものに根ざした貢献と言えます。

休刊と終焉

長きにわたり日本のスキーシーンを支え、多くのスキーヤーに愛されてきた「スキージャーナル」でしたが、残念ながらその歴史に幕を下ろすこととなりました。2018年1月号をもって休刊となり、定期的な発行を終了しました。さらに、発行元であったスキージヤーナル株式会社も、本誌の休刊とほぼ時を同じくして事業を停止し、倒産に至りました。

「スキージャーナル」の休刊は、長年の読者にとって大きな喪失であり、また、日本のスキー専門メディアの一時代が終わったことを象徴する出来事でもありました。しかし、本誌が果たした役割、特に情報提供や技術普及における貢献は、日本のスキー史において重要な一章として記憶されています。

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