スクイーズ・ボックス

ザ・フーの異色ヒット曲「スクイーズ・ボックス」：隠された意味とメンバーの賛否

「スクイーズ・ボックス」は、イギリスのロックバンド、ザ・フーが1975年に発表したアルバム『ザ・フー・バイ・ナンバーズ』に収録された楽曲です。ピート・タウンゼントによって作詞・作曲され、シングルカットもされました。本国イギリスでは10位、アメリカでは16位を記録し、特にカナダでは1位を獲得するなど、世界的なヒットとなりました。

楽曲の特徴：カントリー色と際どい歌詞

タイトルが示すように、アコーディオンやバンジョーが使用されたカントリー調の軽快なナンバーで、ザ・フーの楽曲としては異彩を放っています。タウンゼント自身が初めてアコーディオンを演奏した曲でもあり、「10分で弾き方をマスターした」と語っています。

しかし、歌詞の内容はザ・フーの楽曲としては珍しく、かなり際どい性的なメタファーが用いられています。タウンゼントも「遊び半分で、下品なジョークを意図した歌詞を書いた」と認めており、ライブではタウンゼントとロジャー・ダルトリーが歌詞の「in-and-out...」の部分に合わせて腰を前後に動かすパフォーマンスを披露していました。ジョン・エントウィッスルは「“スクイーズ・ボックス”が“おっぱい”を指していることは、俺たちみんなわかってたよ」と語っています。

メンバー間の評価

暗い歌詞が多い『ザ・フー・バイ・ナンバーズ』の中で、異彩を放つこの曲は、メンバー間でも評価が分かれていました。タウンゼント自身は嫌っていたようで、「アメリカでこれがヒットした時は信じられない思いだった」と語っています。エントウィッスルも「これがヒットしたらものすごく決まりが悪い」と不安を漏らしていました。しかし、ダルトリーは「とても爽やかでシンプル、そして信じられないほどキャッチーだ。飾らないところが気に入ってる。観客もこの曲が好きだ。“in-and-out”に悪い意味はないよ!」と肯定的に評価しています。

ライブでの演奏とカバー

「スクイーズ・ボックス」は、1975年から1976年にかけて行われた『ザ・フー・バイ・ナンバーズ』に伴う大規模なツアーで披露されました。その後、一時的に演奏されなくなりましたが、1982年の解散前のラストツアーで再び演奏されました。また、ダルトリーのソロツアーでも頻繁に演奏されています。1976年6月12日にスウォンジーのシティー・フットボール・クラブで行われたライブ・バージョンは、1996年にリリースされた『ザ・フー・バイ・ナンバーズ』リミックス/リマスターCDのボーナストラックとして収録されています。

この曲は、フレディ・フェンダー、ローラ・ブラニガン、ポイズンなど、様々なアーティストによってカバーされています。

まとめ

「スクイーズ・ボックス」は、ザ・フーの楽曲の中でも異質な存在でありながら、世界的なヒットを記録しました。その背景には、キャッチーなメロディーと、際どい歌詞、そしてメンバー間の賛否両論の評価がありました。今もなお、多くのファンに愛され続けている楽曲です。

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