スクノ海

スクノ海について

スクノ海（スクノうみ）は、徳島県鳴門市に位置し、大毛島や高島に囲まれた美しい入海です。この入海は、南側であいの水尾川を経由して小鳴門海峡とつながり、北側ではいな越の小さな掘割を通じてウチノ海に接しています。入り組んだ形を持つこの海は、周囲の自然とともに独特な生態系を形成しており、非常に魅力的な場所です。

歴史と塩田の開発

スクノ海は水深が浅いため、塩田の開発が比較的容易です。この特性を活かし、江戸時代から明治時代にかけて、徳島藩政期に多くの塩田が作られました。その記録の一つ、嘉永元年の文書には、天保14年から塩浜を開発した三ツ石村の漁業権に関する詳細が記されています。地元の漁民は、土佐泊浦の漁業権を有する人々に対し、漁業補償として毎年銀札が支払われていたことが記録されています。

また、寛政7年の記録によれば、安永年間に徳島杉屋丁の郡屋牛之丞がハマチの養殖を試みましたが、わずか5年で失敗に終わってしまったと言われています。この時期に、内海へと続くいな越が掘り切られたことも重要な出来事として記録されています。

近代以降の養殖業

近代に入ると、スクノ海の北部に位置する小湾のイナ池において、明治41年に土佐泊漁業組合がイナ池養魚場を設置しました。ここでは、若齢のボラである「イナ」の養殖が始まりました。後にイナ養殖は中止されましたが、昭和6年度から新たに結成された鳴門漁業組合がハマチの稚魚やクルマエビを導入し、養殖事業を大いに拡大しています。

さらに、第二次世界大戦後には、このスクノ海で真珠やカキの養殖が試みられましたが、残念ながら長期間にわたって続くことはありませんでした。それでも、スクノ海는依然として地元の経済や文化にとって重要な存在であり続けています。

結論

スクノ海は、その自然環境と歴史的背景において、徳島の重要な資源であり、多くの漁業活動が行われてきた場所です。塩田の開発や養殖の歴史は、地域の生活様式や経済にも深く関与しており、今後もその魅力が引き継がれていくことが期待されます。

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