スコットカタログ

スコットカタログは、アメリカ合衆国のスコット出版が毎年発行している世界中の郵便切手を収録したカタログ（図鑑）です。

概略

スコットカタログは、1868年9月にニューヨークの切手商ジョン・ウォルター・スコットによって初めて発行されました。このカタログには、切手のタイトル、発行年月日、印刷の色、評価額が記載されており、個々の切手に整理番号が付与されています。この整理番号は「スコット番号」と呼ばれ、アメリカだけでなく世界中の切手商や切手収集家に広く使用されています。

1907年には、日本でも英語版の原著が「米国スコット商会出版『万国郵便切手価額目録書』」として販売されました。
創刊から1942年版までは1冊本でした。

収録国

スコットカタログは英語で編集されており、世界で発行された膨大な数の切手がカラーで収録されています。2016年発行の2017年版カタログまでは電話帳サイズの6巻セットでしたが、1冊あたりの重量が重くなったため、2017年発行の2018年版からは第1巻を第1A巻と第1B巻というように2冊に分け、合計12冊のセットに再編されました。近年ではCD-ROM媒体でも発売されています。

第1巻はアメリカ、国際連合から収録され、以降は各国の切手が国名のアルファベット順に並んでいます。2018年度版の構成は以下のとおりです。

Vol.1A：アメリカ、国際連合、Aからオーストラリアまでの各国
Vol.1B：オーストリア～B
Vol.2A：C～キュラソー島
Vol.2B：キプロス～F
Vol.3A：G
Vol.3B：H～I
Vol.4A：J～L
Vol.4B：M
Vol.5A：N～フィリピン
Vol.5B：ピトケアン諸島～サモア
Vol.6A：サンマリノ～テテ（ポルトガル領モザンビークの一部）
Vol.6B：タイ～Z

ほぼ世界中の切手を網羅して収録されていますが、例外もあります。1960年代から1970年代にかけて、休戦オマーンを構成した首長国（現在ではアラブ首長国連邦を構成する）やイエメン王党派が国外の収集家向けに濫発したいわゆる土侯国切手などはほぼ収録されてきませんでした。ただし、2020年版にはラアス・アル＝ハイマの切手が不完全ながら採録され始めるなど、取扱いの方針には変化が見られます。

かつてのアメリカ切手の整理番号は局長臨時切手から始まり、現在の1番である1847年発行のフランクリンが描かれた5セント切手は28番でした。

また、アメリカ政府が敵性国家に指定して郵便切手の輸入を禁止している場合には掲載されないことがありました。かつての北ベトナムや中華人民共和国などは1970年代まで収録されていませんでしたが、一方で長年アメリカとの国交断絶状態が続いたキューバについては評価額を記載せずに採録するなど、方針は統一されていませんでした。現在でも、イランの禁輸措置移行後に発行された分については評価額を記載していないほか、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の切手も最近まで収録していませんでした（2003年発行の2004年版に1946年〜1975年発行の切手が収録されたのが初）。

スコットカタログのように世界中の切手を収録したカタログには、他にイギリスのギボンズカタログやドイツのミッヘルカタログ、フランスのイベールカタログなどがあります。

出典

Amos Advantage - 発行元

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