スコットランド国民党

スコットランド民族党(SNP)の全貌

スコットランド民族党（SNP）は、スコットランドの地域政党であり、スコットランド独立を掲げる社会民主主義政党です。本稿では、SNPの歴史、イデオロギー、政策、そして様々な論争を詳細に解説します。

党史：スコットランド独立運動の中核

SNPは、1934年、スコットランド国家党とスコットランド党の合併によって誕生しました。古くから続くスコットランドの自治・独立運動を受け継ぎ、イギリス政府への反政府運動や徴兵拒否運動を展開しました。第二次世界大戦後、地道な組織拡大を経て、1967年のイギリス議会選挙でウィニー・ユーイング議員の当選を機に躍進を始めます。

1999年、トニー・ブレア政権下でスコットランド議会が復活。SNPは議会で存在感を増し、2007年には第一党に、2011年には単独過半数に近い議席を獲得し、アレックス・サモンド党首がスコットランド自治政府首相に就任しました。2014年の独立住民投票では独立反対派が勝利したものの、独立賛成票も44.7％に達し、独立運動の高まりを示しました。

その後、ニコラ・スタージョンが党首に就任し、2015年のイギリス議会選挙ではスコットランド選挙区で56議席を獲得、躍進を遂げました。現在もスコットランド議会、イギリス議会、欧州議会で活動し、地方自治体でも影響力を持っています。

組織：支部、評議会、若者組織

SNPは、地方支部、選挙区組合、地方評議会によって構成されています。党大会や運営委員会で党の方針が決定され、全国執行委員会が最終決定権を持ちます。学生組織、青少年組織、労働運動との連携組織なども存在し、多様な層が参加しています。党員数は、2004年の9450名から2015年には11万5000名に急増しました。

政策：社会民主主義とスコットランド独立

SNPの政策は、社会民主主義を基調としています。核軍縮、革新的な課税制度、福祉政策の充実、教育費用の公的負担、賃上げなどを掲げています。外交政策では、スコットランド独立とEU加盟、ユーロ導入を目指し、NATO加盟については慎重な姿勢を示しています。独立後の政体については、英連邦残留を望む声もある一方、共和制への移行を支持する声もあります。

2009年には、スコットランド議会で独立住民投票の制度整備に着手し、独立に向けた法整備を進めました。

イデオロギー：社会民主主義と民族主義の融合

SNPのイデオロギーは、初期は明確ではありませんでしたが、1960年代以降、党大会で社会民主主義が中心イデオロギーとして承認されました。ウィリアム・ウォルフ党首らの指導の下、社会民主主義に基づいた政策を展開し、労働運動支援などを通じて民族主義勢力の拡大を図りました。

党内では、社会主義路線強化をめぐる党内対立や、独立運動における漸進主義と即時独立論の対立がありましたが、最終的に社会民主主義を基本方針とし、より急進的な改革派は一時的に分裂しましたが、後に合流しました。

論争：反英主義、政治献金、国民投票における公的資金投入

SNPは、その独立運動からしばしば「反英主義」と批判されます。ワールドカップ開催をめぐる論争や、政治献金問題なども批判の的となっています。特に、資産家ブライアン・ソーター氏からの多額の政治献金と、交通網関連政策との関係が疑惑として取り沙汰されました。

また、EU離脱・残留を問う国民投票や、2014年の独立住民投票において、公的資金を使って独立賛成、EU残留のキャンペーンを行ったことについても批判が出ています。一方で、SNP内にもEU離脱を支持する声があり、複雑な状況となっています。

結論

SNPは、社会民主主義とスコットランド民族主義を掲げる、スコットランドを代表する政党です。歴史の中で様々な論争や党内対立を経験しながらも、スコットランド独立という目標に向かって活動を続けています。その活動は、スコットランドの将来だけでなく、イギリス全体の政治状況にも大きな影響を与え続けています。

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