スコット・トラヴィス

スコット・トラヴィス（Scott Travis、1961年9月6日生まれ）は、アメリカ合衆国バージニア州ノーフォーク出身のドラマーです。彼は、アメリカのヘヴィメタルバンド、レーサーXと、イギリスの重鎮、ジューダス・プリーストという、二つの著名なバンドでの活動でその名を知られています。

1980年代初頭、トラヴィスは「Hampton Roads」地域で名の知れたドラマーでした。その後、活動拠点をカリフォルニアに移し、いくつかのバンドを経験した後、レーサーXに加入し、その才能を開花させました。

1990年、トラヴィスは長年の夢であったジューダス・プリーストに加入します。ドラマーの交代が頻繁だった同バンドにとって、トラヴィスの加入は安定をもたらしました。また、ジューダス・プリーストのボーカル、ロブ・ハルフォードが結成したバンド「Fight」でもドラムを担当し、ロブからの信頼も厚いです。1993年にロブがジューダス・プリーストを脱退した際、アメリカ人同士としてティム・オーウェンズの加入にも関わっています。1999年にレーサーXが再結成されると、ジューダス・プリーストとの兼任で参加しました。

2023年には、ジューダス・プリーストのリッチー・フォークナー（ギター）、マイケル・シェンカー・グループ/レインボーのロニー・ロメロ（ボーカル）、パンテラのレックス・ブラウン（ベース）と共に「エレガント・ウェポンズ (Elegant Weapons)」を結成し、アルバム『Horns for a Halo』を発表しました。

特筆すべきは、トラヴィスが右利きでも左利きでもドラムを叩ける両利きのドラマーであるという点です。彼の演奏技術の高さがうかがえます。また、身長が6フィート6インチ（約198cm）と、ジューダス・プリーストのメンバーの中でも際立って大きいことも特徴です。

若い頃からジューダス・プリーストへの加入を夢見ていたトラヴィスは、10代の頃に地元のコンサートホール、ハンプトン・コロシアムの駐車場にドラムセットを持ち込み、演奏すれば、ツアー中のジューダス・プリーストのメンバーの目に留まるのではないかと真剣に考えていました。また、デイヴ・ホーランドがまだ在籍していた頃、バックステージに自らの演奏を録音したテープを渡そうと試みましたが、結局メンバーの目に留まることはありませんでした。

しかし、1989年にデイヴが脱退したことを知ったレーサーXのジェフ・マーティン（ボーカル）は、ロブ・ハルフォードにトラヴィスを推薦し、オーディションを受けることになり、ついに念願のジューダス・プリースト加入を果たしました。以前からトラヴィスの夢を知っていたジェフは、「誰がドラマーを探していると思う？」とトラヴィスに電話したそうです。

スコット・トラヴィスの音楽への情熱と努力が、彼をヘヴィメタル界のトップドラマーへと押し上げたと言えるでしょう。

ディスコグラフィ

Racer X
Second Heat (1987)
Extreme Volume Live (1988)
Extreme Volume II Live (1992)
Technical Difficulties (1999)
Superheroes (2000)
Getting Heavier (2002)

Judas Priest
ペインキラー - Painkiller (1990)
ジャギュレイター - Jugulator (1997)
'98 Live Meltdown (1998)
デモリッション - Demolition (2001)
Live in London (2003)
エンジェル・オブ・レトリビューション - Angel of Retribution (2005)
Rising in the East (2005)
ノストラダムス - Nostradamus (2008)
A Touch of Evil: Live (2009)
British Steel (Live DVD on remastered version)(2010)
贖罪の化身 - Redeemer of Souls (2014)
バトル・クライ～進撃の咆哮 - Battle Cry (2016)
ファイアーパワー - Firepower (2018)

Fight
War of Words (1993)
A Small Deadly Space (1995)
Mutations (1994)

Elegant Weapons
* Horns for a Halo (2023)

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