スザンナと長老たち (アルテミジア・ジェンティレスキ、ボローニャ)

アルテミジア・ジェンティレスキの「スザンナと長老たち」は、バロック期の重要な女性画家による、旧約聖書「ダニエル書」に描かれるスザンナを題材とした作品です。1652年に制作されたこの絵画は、ジェンティレスキが約60歳という晩年に手がけたもので、彼女の署名と制作年が画面下部左に確認できます。この作品は、弟子のオノフリオ・パルンボとの共同制作であり、売却に関する文書にはパルンボへの支払いも記録されています。

ジェンティレスキは、この主題を生涯にわたり繰り返し描いていますが、本作は彼女が描いた最後の「スザンナと長老たち」です。彼女が17歳で描いた初期の作品と比較すると、本作ではスザンナのポーズがより演劇的になり、恐怖に怯えるのではなく、むしろ長老たちを拒絶する毅然とした態度が強調されています。

旧約聖書の物語では、貞節なスザンナが2人の好色な長老に襲われます。彼らは水浴中の彼女に近づき、脅迫して自分たちの欲望に従わせようとします。このテーマは16世紀以降、多くの画家によって描かれましたが、ジェンティレスキは、スザンナの強さと抵抗を際立たせることで、この伝統的な主題に新たな解釈を加えました。

この作品は、1653年初めにアントニオ・ガリーゼに売却された記録があり、それが本作であると考えられています。その後、メディチ家のコレクションに収蔵され、1945年頃にはアッゾリーニ・コレクションに入りました。長らくエリザベッタ・シラーニの作品とされていましたが、最近の研究と修復によってジェンティレスキの作品と再鑑定され、現在はボローニャ国立絵画館に所蔵されています。

ジェンティレスキの「スザンナと長老たち」は、彼女自身の過去の経験と、女性の置かれた状況に対する深い理解が反映された作品と言えます。この作品を通して、彼女は女性の強さと不屈の精神を表現し、観る者に強い印象を与え続けています。

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