スシロー迷惑動画事件

スシロー迷惑動画事件

2023年1月29日、岐阜県岐阜市の「スシロー岐阜正木店」で発生した迷惑動画事件。男性客が行った不適切な行為がSNS上に拡散され、回転寿司の文化に多大な影響を及ぼした。この事件は、醤油差しの注ぎ口をなめる、湯呑を舐める、さらには寿司に唾液を付けるといった行為が含まれており、その様子を撮影した動画が公開されたことで、回転寿司チェーンへの信頼が著しく損なわれる結果となった。

事件が発覚した翌日、SNSでは岐阜の高校名がツイートされ、その後、当該高校に対する抗議や誹謗中傷の電話が多数寄せられる事態に発展した。報道によれば、迷惑行為の実行者は岐阜市の県立高校の生徒だったとされ、その影響で当人は自主退学に至ったとの情報もあった。

スシローの親会社であるFOOD&LIFE COMPANIESは、「安全・安心のおすしを提供するための信頼関係が損なわれた」とのコメントを発表し、事件への厳正な対処を宣言した。また、加害者とその保護者から謝罪があったものの、会社側は引き続き法的措置を講じる姿勢を示した。

岐阜県警は、当事者について最初は偽計業務妨害容疑での書類送検を考えたが、後に器物損壊容疑へと方針を転換した。この種の迷惑行為は「寿司テロ」として知られ、回転寿司業界全体へのイメージに悪影響を及ぼし、スシローの株価も一時的に170億円近く下落したが、短期間で回復した。

事件後、スシローは客の信頼回復に向け、店舗の全湯呑み・醤油ボトルの徹底洗浄と食器・調味料の新たな提供方法への変更を実施。卓上に設置した食器や調味料を客自身が持ち運ぶ形をとった。また、全店舗での商品提供の運用変更も発表された。

この事件は、日本国内にとどまらず、フランスやイギリス、アメリカのメディアでも報じられ、多くの批判を集めた。農林水産大臣も記者会見で、このような迷惑行為が食品産業に及ぼす影響について懸念を表明した。

最終的に、スシローは約6700万円の損害賠償を求める裁判を大阪地方裁判所に起こすも、後に調停が成立し、賠償請求を取り下げた。この事件を受け、スシローは夏季に予定していたレーンでの注文品以外の提供の再開を恒久的に中止することを決定した。

事件を機に、「#スシローを救いたい」という応援の動きがSNSで広がり、スシローの公式アカウントも謝意を表明。さらに割引キャンペーンを実施するも、一部の顧客において返金対応が必要となるなど、混乱もあった。全体として、この事件はスシローにとって大きな試練となり、企業戦略の見直しを促す契機ともなった。

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