スズキ・グラストラッカー

スズキ グラストラッカーシリーズ：トラッカーブームを牽引した名車

スズキが製造・販売するグラストラッカーシリーズは、1990年代後半のトラッカーブームの中で2000年に誕生しました。アメリカンスタイルのオフロードバイクを彷彿とさせるデザインと、扱いやすい車体が人気を博し、長年にわたって多くのライダーに愛されてきました。本記事では、グラストラッカーと、その派生モデルであるグラストラッカービッグボーイについて、その歴史や特徴を詳しく解説します。

グラストラッカー：軽快な走りと扱いやすさが魅力

グラストラッカーは、その名の通り1970年代にアメリカで流行した草レース「グラストラック」をイメージしたモデルです。オンロード走行を主体としながらも、オフロード走行にも対応できるデュアルパーパスモデルとして設計されています。250ccクラスでありながら、車重は乾燥重量でわずか123kgと軽量。シート高も745mmと低く設定されているため、小柄なライダーでも扱いやすい点が大きな魅力です。

搭載されるエンジンは、初期型では249cc空冷単気筒4サイクルSOHC4バルブ（J424型）を搭載。セルとキックの両方の始動方式を採用していました。その後、モデルチェンジを経て、セル始動のみのエンジンに変更されたり、2バルブエンジンへの変更など、様々な改良が行われました。これらの改良は、コスト削減だけでなく、低回転域でのトルク向上、燃費向上なども目指していました。2008年には排出ガス規制に対応するため、燃料供給方式がキャブレターからインジェクションに変更されました。

グラストラッカービッグボーイ：スケールアップした存在感

グラストラッカービッグボーイは、グラストラッカーをベースに、フロントフォークとスイングアームを延長し、タイヤ径を拡大することで、より大型で力強いスタイルを実現したモデルです。前輪19インチ、後輪18インチという大型タイヤと、ブロックパターンタイヤを採用することで、グラストラッカーよりもオフロードでの走破性を高めています。

エンジンは初期型ではグラストラッカーと同様にセルとキックの併用でしたが、モデルチェンジを経て、セル始動のみとなりました。また、ハンドル幅を広げる、リアフェンダーをフラットにするなど、グラストラッカーと異なるデザイン上の特徴も備えています。

モデルバリエーションと歴史

グラストラッカーとグラストラッカービッグボーイは、それぞれ複数のモデルチェンジを経てきました。主な変更点はエンジンの仕様変更、燃料供給方式の変更、排出ガス規制への対応などです。これらの改良は、性能向上、コスト削減、環境規制への対応などを目的として行われました。また、一部モデルでは特別仕様車も販売されました。

各モデルの発売時期、主な仕様、価格などは以下の通りです（価格は税抜価格）。

グラストラッカー

2000年4月：発売開始（384,000円）
2001年11月：マイナーチェンジ（339,000円）
2004年4月：マイナーチェンジ（339,000円）
2008年2月：生産終了
2008年9月：マイナーチェンジ、インジェクション化（399,000円）
2017年9月：生産終了

グラストラッカービッグボーイ

2001年3月：発売開始（394,000円）
2002年3月：マイナーチェンジ（374,000円）
2004年4月：マイナーチェンジ（374,000円）
2008年2月：生産終了
2008年9月：マイナーチェンジ、インジェクション化（429,000円）
2009年12月：10周年記念モデル発売（439,000円）
* 2017年9月：生産終了

ライバル車種

グラストラッカーの主なライバル車種としては、ヤマハTW200/225、ホンダFTR、カワサキ250TRなどが挙げられます。これらの車種と比較検討することで、自分の好みに合った一台を選ぶことができます。

まとめ

グラストラッカーシリーズは、独特のデザインと扱いやすさで人気を博したスズキの代表的なオートバイです。長年にわたって改良が重ねられ、様々なモデルが登場しました。その歴史と魅力を知ることで、より深くグラストラッカーシリーズを理解できるでしょう。

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