スズキ・バンバン

スズキ・バンバンシリーズ：レジャーバイクの系譜

スズキが製造・販売していたオートバイ「バンバン」シリーズは、その個性的なデザインと高い走破性で多くのライダーを魅了しました。1970年代初頭の登場以来、幾多のモデルチェンジを経て進化を遂げ、現在も根強い人気を誇っています。本稿では、バンバンシリーズの歴史と魅力を紐解いていきます。

始まりは1971年：バンバン90

バンバンシリーズの幕開けは、1971年8月1日に発売されたバンバン90です。レジャーバイクとして開発され、その特徴的なデザインと走破性の高さから、たちまち人気を博しました。前後輪に装備された太いタイヤは、オフロード走行においても高い性能を発揮し、当時のライダー達を虜にしました。

シリーズの拡大：50cc、75cc、125ccモデル

バンバン90に続くように、1972年には50ccと125ccモデルが、翌1973年には75ccモデルが発売されました。排気量の異なる複数のモデル展開により、より幅広いライダー層を獲得することに成功しました。どのモデルも、バンバン90と同様に太いタイヤを装備し、高い走破性を誇っていました。特にバンバン50は、フレーム内に空気入れを内蔵するなど、遊び心あふれる設計が特徴的でした。

21世紀の復活：バンバン200

長らく生産が終了していたバンバンシリーズですが、2002年に待望の復刻版としてバンバン200が登場しました。199ccの4ストロークエンジンを搭載し、太いタイヤや極太マフラーなど、往年のバンバンシリーズを彷彿とさせるデザインが特徴です。

ヤマハ・TWをライバルと見据えて開発されたバンバン200は、TWと同一のタイヤサイズを採用するなど、市場での競争を意識した設計となっています。さらに、2007年にはモデルチェンジを実施。オイルクーラー、フューエルインジェクション、触媒の搭載により、環境規制に対応した仕様となりました。しかし、2017年9月には、日本の排出ガス規制強化に伴い、国内向け生産が終了しました。

欧州市場向け：バンバン125

バンバン125は、主に欧州市場向けに製造されたモデルです。バンバン200をベースに排気量を変更したもので、車体デザインは200とほぼ共通です。2007年モデルからはフューエルインジェクションが採用され、欧州の環境規制に対応しています。

バンバンシリーズの遺産

バンバンシリーズは、その個性的なデザインと高い実用性で、長年に渡り多くのライダーに愛されてきました。生産終了となった現在でも、中古車市場で高い人気を誇り、その魅力は色褪せることがありません。太いタイヤがもたらす高い走破性、そしてレトロな雰囲気を醸し出す独特のデザインは、現代のオートバイにはない魅力と言えるでしょう。バンバンシリーズは、日本のモーターサイクル史に、確固たる足跡を残したと言えるでしょう。 様々なモデルが展開され、それぞれの時代のニーズと技術を取り入れながら進化を遂げたバンバンシリーズは、単なる乗り物ではなく、時代を反映した文化的遺産と言えるのかもしれません。

もう一度検索