スズキ・レッツ

スズキ レッツシリーズ：ロングセラースクーターの系譜

スズキのレッツシリーズは、1996年の初代レッツ発売以来、長きに渡り愛されてきたスクーターです。本稿では、レッツシリーズの歴史、各モデルの特徴、販売状況、そしてリコール情報などを詳細に解説します。

初代レッツ (1996年-)

1996年、セピアの後継モデルとして登場した初代レッツは、2ストロークエンジンを搭載したスクーターでした。最大の特徴は、フロントカウルに設けられた完全収納式のフロントバスケット。これにより、収納性と利便性を高めていました。ガソリンタンクも5.5リットルと大容量化され、実用性を重視した設計がなされていました。1996年にはロフトとのコラボレーションモデルも発売されましたが、後継モデルであるレッツIIの人気に押され、数年の販売で生産を終了しました。

レッツII (1996年-2007年)

初代レッツとは異なり、スタンダードなスクーターとして1996年に発売されたレッツII。当時低迷していたスクーター市場において、9万9,800円という低価格戦略が功を奏し、大ヒット商品となりました。ディスクブレーキ仕様のSやローシート仕様のLなど、バリエーションも豊富に展開されました。

1999年にはモデルチェンジを実施。排出ガス規制への対応や装備強化により価格が上昇しましたが、市場の反応は芳しくなく販売は低迷。翌年にはスポーツタイプのZZが発売されました。

2002年にはマイナーチェンジを行い、再び低価格路線へ回帰。車体部品の大幅な削減と標準装備の簡素化によって、再びユーザーに受け入れられるようになりました。しかし、2007年の排出ガス規制強化により、2ストロークエンジン搭載のレッツIIは生産終了となりました。

レッツ4 (2004年-2015年)

環境規制を視野に入れ、2004年に登場したレッツ4は、4ストロークエンジンを搭載。スズキとミクニが共同開発したディスチャージポンプ式フューエルインジェクションシステムにより、低燃費と十分なエンジン出力を両立しました。価格は、レッツIIよりも安い9万9,800円に設定され、大きな話題となりました。

このモデルで採用されたフューエルインジェクションシステムは、その後スズキの小型スクーターの標準技術となり、アドレスシリーズなどにも採用されました。2005年にはレトロ調のデザインを採用した「レッツ4パレット」、2007年にはフロントバスケットを搭載した「レッツ4バスケット」が発売されました。

生産は当初日本国内で行われていましたが、2010年モデルから中国の江門市大長江集団有限公司に移管。2011年モデルからは再び日本国内生産に戻りました。2015年には新型レッツの登場に伴い生産終了となりました。

レッツ5 (2008年-2015年)

2008年に発売されたレッツ5は、原付として初めてハンドルポケットを装備したモデルです。眼鏡や小物などを収納でき、利便性を高めていました。G仕様には、フロントポケットや盗難防止アラームが追加されました。しかし、レッツ4の人気に押され、2011年には一旦生産を終了。2013年に生産を再開しましたが、2015年に再び生産終了となりました。

レッツ (2015年-)

2015年モデルとして登場した新型レッツは、日本仕様車初となるSEP（SUZUKI ECO PERFORMANCE）エンジンを搭載。燃費性能を重視した設計となっています。デザイン面でも、ウインカーをカウルからハンドルに移設するなど、変更が加えられました。無印とG仕様が用意され、装備や外装に違いがあります。また、レッツ4バスケットの後継モデルとして「レッツバスケット」も発売されました。2017年には平成28年排出ガス規制に対応したマイナーチェンジが行われました。

e-Let's (2012年-)

2012年に発売されたe-Let'sは、レッツシリーズ初の電動スクーターです。レッツ4バスケットの車体をベースに、メットインスペースにバッテリーを搭載。定格出力580Wのモーターを搭載しています。バッテリーを2個搭載できる「e-Let's W」も発売されましたが、現在は販売終了となっています。

リコール情報

レッツシリーズでは、これまでにいくつかのリコールが発表されています。主な内容は、ECUの不具合、吸気パイプの不具合、スロットルボデーの不具合などです。これらのリコールは、安全確保のために迅速に対応することが重要です。

まとめ

レッツシリーズは、長年にわたって進化を続け、時代のニーズに合わせて変化を遂げてきました。低価格と実用性を両立したモデルから、環境性能を重視したモデルまで、様々なモデルが市場に投入されてきました。これからも、スズキのスクーターとして、多くの人々に愛され続けることでしょう。

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