スズキ・B-KING

スズキ B-KING：伝説のストリートファイター

スズキが送り出した大型バイク、B-KING（ビーキング）。その名は、多くのバイクファンに強烈なインパクトを与え、伝説的なモデルとして語り継がれています。GSX1300BKという機種記号を持つこのマシンは、1340ccの排気量を誇るネイキッドタイプのオートバイです。圧倒的なパワーと個性的なスタイリングは、他の追随を許さない存在感を放っていました。

誕生から市販化まで：夢から現実へ

B-KINGの物語は、2001年10月、第35回東京モーターショーへと遡ります。このショーで公開されたコンセプトモデルは、想像を超える革新的なデザインとハイテク装備で、大きな注目を集めました。GPSを使った気象情報表示機能など、当時としては最先端の技術が搭載されていたことも話題となりましたが、何よりも人々の心を掴んだのは、その力強いスタイリングでした。特に、240mmという極太のリアタイヤは、他のバイクとは一線を画す圧倒的な存在感を生み出していました。

多くの来場者が「市販してほしい」と願ったこのコンセプトモデルは、スズキの過去のコンセプトモデルとは異なり、現実味のある仕様でした。これは、ヨーロッパで流行しつつあった「ストリートファイター」というスタイルにも合致しており、海外でも大きな反響を呼びました。フランスでは、ハヤブサをベースにB-KINGそっくりのカスタムバイクが制作され、日本のバイク雑誌にも紹介されるほど話題になったのです。

コンセプトモデル発表後、スズキは2005年にGSRを発表。このモデルはB-KINGを彷彿とさせるデザインを採用していましたが、あくまでイメージに留まるものでした。しかし、2006年9月、遂にスズキはB-KINGの市販化を発表。同年開催のモーターショーで公開された市販モデルは、コンセプトモデルをより洗練させ、現実的なものとして改良されたものでした。そして、2007年7月5日、2008年モデルとしてB-KINGはついに発売されます。

圧倒的なスペックと個性：その魅力を徹底解剖

B-KINGの心臓部は、1340ccの並列4気筒DOHCエンジン。チタンバルブや特殊メッキを施されたシリンダー＆シリンダーヘッド、32ビット1024キロバイトROMのコンピュータによる高度な燃料噴射制御など、妥協のない技術が投入されています。スズキ・デュアル・スロットル・バルブ(SDTV)や、ライダーの好みに応じて2種類のモードを選べるスズキ・ドライブモードセレクター(S-DMS)といった先進的な装備も搭載。

スタイリングも特筆すべき点です。高剛性ツインスパーアルミフレームとスイングアーム、フルアジャスタブルの倒立フォークとモノショック、そして何よりも目を奪う240mm幅のリアタイヤ。310mmダブルディスクブレーキとラジアルマウントキャリパーは、その圧倒的なパワーを確実に制御します。前後ビルトインウィンカーや、平均速度や整備時期などを表示するパネルなど、細部にもこだわりが感じられます。イグニッションON時にはB-KINGのロゴが表示される演出も、所有者の心を満たすひと工夫と言えるでしょう。

伝説は今も語り継がれる

B-KINGは、日本国内では逆輸入モデルとして販売されました。その価格は158万円と、決して安くはありませんでしたが、その圧倒的な存在感と性能、そして伝説的なストーリーは、多くのライダーを魅了し続けています。販売終了後も、その人気は衰えることなく、中古市場でも高い人気を誇る希少なモデルとなっています。B-KINGは、単なるバイクではなく、時代を象徴する一台として、これからも語り継がれていくことでしょう。

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