スズキ・K

スズキKシリーズとコレダシリーズ：日本のバイク史に名を刻んだ名車たち

スズキはかつて、Kシリーズと呼ばれるオートバイを製造販売していました。K125、K100、K90、K50という4つの排気量バリエーションを展開し、長きに渡り愛されたロングセラーモデルです。その歴史、特徴、そして派生モデルであるコレダスポーツとコレダスクランブラーについて、詳しく見ていきましょう。

Kシリーズ：時代を彩った4つのモデル

Kシリーズは、1960年代から2000年代初頭にかけて販売された、スズキを代表するオートバイシリーズです。それぞれのモデルには個性があり、当時の技術とデザインが凝縮されています。

K125 (1965年発売): 元々は「コレダS10」という名称で知られていました。123ccの2ストロークエンジンを搭載し、12psの最高出力を発揮。レース用エンジンをベースにしており、そのパワフルさと、単気筒ながら2本出しマフラーという個性的なデザインが特徴でした。ビジネスバイクとしての用途も想定されていたようです。
K100 (1969年発売): Kシリーズのエンジンを100ccにスケールダウンしたモデルで、台湾輸出仕様として製造されました。2008年の台湾映画「海角七号 君想う、国境の南|海角七号_君想う、国境の南」にも登場し、日本と台湾の友好の証としてスズキ株式会社に寄贈された一台も存在します。
K90 (1967年発売): シングルマフラーを採用し、7.3psの最高出力を誇りました。警察の交番や駐在所などで使用されていた事例も多く、その信頼性の高さが伺えます。
K50 (1967年発売): 元々は「KS50」という名前で登場しました。最高出力4.5psと、Kシリーズの中では最も小排気量ながら、そのシンプルさと扱いやすさで人気を博しました。1991年には12V化され、ガソリンタンクやサイドカバーのデザイン、マフラー形状など、様々なマイナーチェンジが繰り返されました。スピードリミッターがなく、ギア比が最高速度62km/h程度になるように設計されていたため、ドライブスプロケットの変更により最高速度80km/hに到達することも可能でした。

Kシリーズは販売期間中にいくつかのマイナーチェンジはありましたが、フルモデルチェンジは行われず、長く愛される「本物のレトロバイク」として人気を博しました。しかし、2サイクルエンジン搭載という点が環境規制に対応できず、2000年にK125とK90、2006年にK50の販売を終了。約40年に及ぶロングセラーの歴史に幕を閉じました。ホンダ・カブに次ぐ販売期間の長さを誇るモデルでもありました。

コレダスポーツとコレダスクランブラー：Kシリーズの系譜を受け継ぐ2台

スズキがかつて使用していたオートバイの商標「コレダ」の名を冠した派生モデルとして、1996年にコレダスポーツとコレダスクランブラーが登場しました。K50をベースにレトロなスタイルに仕上げられたこれらのモデルは、現代にも通じる魅力を持っています。

コレダスポーツ: K50をベースに、スピードメーターの変更、オリジナルカラーの採用、荷台を取り外してロングシートを装着するなど、スポーティな外観に仕上げられました。ロングシートは2人乗りも可能でしたが、50ccモデルのため法的には1人乗り限定です。
コレダスクランブラー: コレダスポーツをベースに、左出しアップマフラー、ブロックパターンのタイヤ、そして燃料タンクに装着されたゴム製のニーパッドが特徴です。エンジン型式はA185で、コレダスポーツやK50のA199とは異なります。オフロードモデルらしい力強いデザインが目を引きます。

現在では、コレダスポーツとコレダスクランブラーも生産終了となっていますが、レトロなデザインと個性的なスタイリングから根強い人気を誇っています。

まとめ

スズキKシリーズとコレダシリーズは、日本のオートバイ史において重要な位置を占めるモデル群です。それぞれのモデルが持つ個性、そして時代の流れの中で変化を遂げてきた歴史は、多くのバイク愛好家にとって魅力的なものです。これらのモデルは、現在では生産終了となっていますが、中古市場などで見かける機会もあるでしょう。そのデザインと歴史背景に触れてみるのも良いかもしれません。

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