スタイリスティックス

スタイリスティックス（The Stylistics）

スタイリスティックスはアメリカのブラックミュージックにおける重要な存在であり、フィラデルフィア・ソウルのシーンで特に名を馳せたグループです。その音楽の特徴は、甘美で洗練されたスウィート・ソウルのスタイルにあります。特にリードシンガーであるラッセル・トンプキンスJr.のファルセットが大きな魅力として、彼らを人気グループへと押し上げました。

来歴

グループは1968年に結成され、1971年にデビューアルバム『スタイリスティックス登場』をリリースしました。このアルバムは、トム・ベルのプロデュースによるもので、フィラデルフィアにおける音楽シーンの中で一躍注目を集めました。アルバムからは「ストップ、ルック、リッスン」、「ユー・アー・エヴリシング」、「ゴーリー・ワウ」といったヒット曲が生まれ、多くのリスナーに愛されました。

「ユー・アー・エヴリシング」と「ストップ・ルック・リッスン」は、1973年にダイアナ・ロスとマーヴィン・ゲイによるアルバム『ダイアナ&マーヴィン』でカバーされるなど、他のアーティストにも影響を与えました。また、「ゴーリー・ワウ」は後にプリンスによってもカバーされ、スタイリスティックスの名はさらに広まることとなりました。

1973年にリリースされたサード・アルバム『ロッキン・ロール・ベイビー』の中の曲「誓い」は、特に人気が高まり、彼らの代表曲の一つとなりました。しかし、トム・ベルがプロデュースから外れると、以降は新たな楽曲の提供が困難になり、音楽スタイルの変化を余儀なくされました。

1974年以降は、ヴァン・マッコイやヒューゴ&ルイージの手によるディスコ風の曲が中心となり、これまでのソウルファンからは支持を失うこととなりました。6枚目のアルバム『サンキュー・ベイビー』収録の「愛がすべて」は、イギリスでゴールドディスクを獲得し、日本でも人気となりましたが、アメリカ本土でのTop40ヒットは1974年の「Let's Put It All Together」が最後となりました。

1980年代以降、スタイリスティックスはヒットに恵まれない時期が続きましたが、メンバーは幾度かの交代を経ながらも地道な音楽活動を継続しています。2004年にはオリジナルメンバーのラッセル・トンプキンスJr.がニュー・スタイリスティックス（The New Stylistics）を結成し、新たな音楽的挑戦を行っています。彼らの来日公演も多く、今なお多くのファンを魅了し続けています。

関連人物・グループ

スタイリスティックスの周辺には、ブルー・マジックやデルフォニックス、レイ・グッドマン&ブラウン、スピナーズ、ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツ、スリー・ディグリーズ、オージェイズなど多くのアーティストがいます。これらのグループもまた、フィラデルフィア・ソウルやスウィート・ソウルのジャンルにおいて重要な役割を果たしています。

彼らの音楽は今なお多くのリスナーに愛され、様々な影響を与え続けています。

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