スタンレー・カップ

スタンレー・カップ：氷上の栄光の象徴

スタンレー・カップは、北米プロアイスホッケーリーグ（NHL）のプレーオフ優勝チームに授与される、アイスホッケー界で最も権威のあるトロフィーです。その歴史は古く、1892年にまで遡ります。

トロフィーの構造

スタンレー・カップは、上部のカップとそれを支える金属製のリングで構成されています。リングの数は時代によって異なり、トロフィー全体の高さは約880mm、重さは約14.6kgです。

カップは2つ存在し、1つは老朽化した実物でホッケーの殿堂に展示されています。もう1つは複製品で、優勝チームへの授与や広報活動に使用されます。下部のリングも古いものから順次交換され、ホッケーの殿堂に保管されています。

歴史

スタンレー・カップは、元々カナダ総督スタンレー卿が寄贈した装飾用の椀でした。当初はカナダのアマチュアトップチームに授与され、挑戦試合によって保持チームが決定されていました。

スタンレー卿はカップに関していくつかの規則を定め、カップはチャンピオンが所属するリーグの選手権を顕彰するものであり、授与されたチームの財産とはならないことなどを定めました。

1893年には、アマチュアホッケー協会（AHA）の優勝チームであるモントリオールAAAが最初の受賞チームとなりました。

チャレンジカップの時代

初期のスタンレー・カップは、挑戦チームがカップ保持チームに試合を申し込み、勝利することでカップを奪取する「チャレンジカップ」の形式でした。多くのチームがカップを巡って激戦を繰り広げ、その歴史の中で様々なドラマが生まれました。

1894年3月17日には、初のスタンレー･カップのプレイオフ試合が開催されました。

1896年には、マニトバ・ホッケーリーグのウィニペグ・ヴィクトリアズが、初のAHA以外のチームとしてカップを獲得しました。

1905年には、ドーソンシティ・ナゲッツがユーコンから4,000マイルの長旅を経て挑戦試合に出場し、伝説的なシリーズとなりました。

1908年には、全選手がプロで構成されたトロント・トロリーリーガーズがカップを獲得し、スタンレー・カップはプロホッケー最高の栄誉を象徴する存在となりました。

1912年、カップ管理者はカップ防衛戦は、毎年チャンピオンチームのレギュラーシーズン終了後に、ただ一度のみ行われるものとすると決定しました。

NHLの統一

1914年には、太平洋岸ホッケー協会（PCHA）所属のヴィクトリア・アリストクラッツが、カップ保持チームのトロント・ブルーシャツに対しエキシビジョンによる「非公式の挑戦」を行いました。

1915年、NHAとPCHAの間で、リーグ相互の優勝チームがカップを賭けて戦うことについて合意しました。

1917年には、NHAが解体され、NHLが新たに発足しました。

1926年以降はNHLがスタンレー・カップ戦を包括的に運営することになり、現在に至ります。

スタンレー・カップに参加したリーグ

スタンレー・カップには、AHAからNHLまで、数多くのリーグが参加してきました。これらのリーグの栄枯盛衰は、アイスホッケーの歴史を物語っています。

近年のスタンレー・カップ

スタンレー・カップは1893年以来、1919年（スペイン風邪の流行）、2005年（ロックアウト）を除いて、毎年授与されています。最多獲得チームはモントリオール・カナディアンズで24回、トロント・メープルリーフスの13回がこれに次ぎます。

カップへの刻印

カップには、獲得チームの選手全員の名前が刻まれます。スペースがなくなると新しい区画が追加され、古い区画はホッケーの殿堂に飾られます。

カップの形状変更

スタンレー・カップは、その歴史の中で何度か形状が変更されてきました。1948年には2ピースの葉巻型となり、1958年には現在の1ピース型となりました。

カップにまつわる逸話

スタンレー・カップは、その長い歴史の中で様々な逸話に彩られています。カップを運河に落としたり、犬の餌皿にしたり、ストリップクラブに持ち込んだりといった話は有名です。

また、選手が個人的にカップを手元に置くことが許されるようになり、カップは世界中を旅するようになりました。

スタンレー・カップは、アイスホッケー界の最高の栄誉であり、その歴史と伝統は、多くのファンを魅了し続けています。

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