スターオーディション

『スターオーディション』は、1985年4月6日から12月29日まで、TBS系列で全39回にわたり放送されたオーディション番組です。この番組の特徴は、当時としては珍しく、歌手部門と俳優部門を同時に審査した点にありました。司会は、その独特なキャラクターで人気を博していた所ジョージが担当しました。

審査員には、映画監督の大林宜彦、作詞家の売野雅勇、音楽プロデューサーの畑嶺明、音楽家の水谷公生、エッセイストの残間里江子といった、各界の著名人が名を連ねました。彼らの専門的な視点と、時にはユニークな意見が、番組に深みを与えていました。

番組の放送時間は、1985年9月29日までは毎週日曜日の17:00から17:30でしたが、同年秋の改編により、11:00から11:30へと変更されました。これは、番組がより幅広い視聴者層にアピールするための戦略的な変更でした。また、ローカルセールス枠であったため、中部日本放送では土曜日の16:00から16:30に放送されるなど、地域によって放送時間が異なるという状況もありました。

さらに、当時TBSで放送されていた人気ドラマ『うちの子にかぎって…2』の中で、この番組をモチーフにしたユーモラスなシーンが描かれました。ドラマの中で、居作竜太郎の父親が低俗番組に抗議するためにTBSへ乗り込んだ際、誤って『スターオーディション』のスタジオに迷い込み、準備中のスタッフと衝突するという場面がありました。これは、当時のテレビ番組が持つ相互参照的な面白さを象徴するエピソードと言えるでしょう。

『スターオーディション』からは、藤ゆうこ、高橋里奈、藤東勤といった、後に芸能界で活躍する人材が輩出されました。彼らは、この番組での経験をバネに、それぞれの道で才能を開花させました。この番組は、単なるオーディション番組としてだけでなく、当時のテレビ文化や芸能界の動向を映し出す鏡としても、重要な役割を果たしていたと言えるでしょう。

この番組が放送された1985年という時代は、まだインターネットやSNSが普及する以前であり、テレビが娯楽の中心でした。そのため、このようなオーディション番組は、多くの視聴者にとって夢を追いかける若者たちを応援する、特別な存在だったのです。また、この番組のように、歌手と俳優という異なるジャンルを同時に審査するという試みは、多様な才能を発掘しようという、当時のテレビ業界の積極的な姿勢を表しているとも言えるでしょう。番組の成功は、後続のオーディション番組にも影響を与え、今日のオーディションブームの礎を築いたとも考えられます。

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