スタートレックIV 故郷への長い道

スタートレックIV 故郷への長い道

『スタートレックIV 故郷への長い道』は、1986年に公開されたアメリカ映画であり、オリジナルシリーズにおける第4作目にあたります。この作品は、劇中のユーモラスな展開や時間旅行を通じて描かれる深いメッセージが、多くの観客に支持されています。日本では1987年3月に公開されました。

ストーリー概要

物語は、カーク提督とその乗組員がクリンゴン人との戦闘によってエンタープライズ号を自爆させ、自ら捕獲したクリンゴンのバード・オブ・プレイに乗り込むところから始まります。彼らは、スポックの故郷であるバルカン星で、彼を救うために自己犠牲をしたことを理解できずに困惑したスポックを再びその地に戻します。しかし、彼らが帰還する直前に、宇宙から接近する謎の探査船が地球の大気をイオン化し、危機的な状況に陥ります。

カーク提督と彼のクルーは、この探査船が地球のザトウクジラと何らかの関係があることを突き止めます。実は、宇宙人たちは古くからザトウクジラと通信を行っており、その交信が途絶えたためにやってきたのです。しかし、時代はすでにザトウクジラが絶滅した21世紀。彼らは、地球を救うために20世紀に戻り、絶滅直前のザトウクジラを救うべく奮闘します。

クルーたちは、1986年のサンフランシスコにタイムワープし、ザトウクジラを探し出そうとするのですが、当時の文化や技術に戸惑いながらも、様々な人々との交流を通じて成長していきます。

見どころ

本作の魅力の一つは、エンタープライズ号がほとんど登場せず、クルーたちが20世紀での冒険を繰り広げる点です。カーク提督が当時のドルの価値に苦しみ、スポックが古い文化に馴染もうとしてドジを踏む場面など、コメディのエッセンスがふんだんに盛り込まれています。こうしたシーンは、観客に笑いを提供しつつ、同時に異文化理解の重要性を伝えています。

公開後、アメリカではシリーズ最高のヒットとなり、観客から絶大な支持を得ました。

制作背景

この映画の脚本は、1985年8月に着手されました。当初の草稿からコメディ的要素を大きく取り入れたのは、当時のヒット作である『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の影響が大きいとされています。

パラマウントは、作品を単体作として捉え、通常のスタートレックシリーズの枠を超えたヒットを狙うことにした結果、タイトルが変更されました。また、前作までの話の要約を冒頭に加えることで、新しい観客にも分かりやすい構成が工夫されています。

豆知識

映画には、いくつかの興味深い豆知識が隠されています。水族館の場面はモントレー湾水族館で撮影され、劇中に登場するアメリカ海軍の航空母艦「エンタープライズ」は他の艦艇に置き換えられる場面もあります。そして、撮影現場でのキャストと一般人の交流が、自然なリアリズムを生み出しています。さらに、音楽やエフェクトに関する工夫もあり、この作品が如何に多面的なアプローチで制作されたかを示しています。

『スタートレックIV 故郷への長い道』は、ただのSF映画を超え、時代を反映したメッセージ性のある作品であり、多くの人々に感動と笑いを与え続けています。

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